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「バウアー32歳が中4日フル回転」背景抜きに“見習え”は危険では…山本由伸3年連続、東克樹が奮投も「沢村賞」基準が“昭和のまま” 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byJIJI PRESS/Nanae Suzuki

posted2023/11/02 11:02

「バウアー32歳が中4日フル回転」背景抜きに“見習え”は危険では…山本由伸3年連続、東克樹が奮投も「沢村賞」基準が“昭和のまま”<Number Web> photograph by JIJI PRESS/Nanae Suzuki

バウアーと山本由伸。サイ・ヤング賞経験者と3年連続沢村賞右腕の成績を中心に、先発投手の意義について考えてみると……

 登板数は、今ではローテーションで決まる。中6日なら26~27試合。それより短い登板間隔で投げるのは、イレギュラーな場合のみ。完投は今や投手の目標ではなく、7回程度を投げることが求められている。完投は球数が少ないケース、もしくは投手の調子が良いときに例外的に認められている。

 勝利はセイバーメトリクスで「運」の産物とされている。確かに味方の援護がなければ、どんなに好投しても勝ち星はつかない。MLBでは最多勝は投手のタイトルではあるが、実力を表す指標とはみなされていない。MLBで沢村賞に相当する「サイ・ヤング賞」では、2018年ナ・リーグは、18勝7敗のマックス・シャーザー(ナショナルズ/所属は当時)を差し置いて、10勝9敗のジェイコブ・デグロム(メッツ/同)が選ばれている。

今、最も重要視されている指標は何?

 同様に勝率も「運」の産物と見なされる。強いチームに所属すれば、勝率は上がるのは自然ととらえられているからだ。

 投球回数も、ローテがあり、責任投球回数が7回程度となっている中では、あまり意味のある数字ではなくなっている。ただ、貢献度を考えれば、同じ登板数なら長いイニングを投げるほうが良いので、一定以上の投球回数は必要となる。

 一方で奪三振数は、今も最も重要な指標の1つ。三振は「振り逃げ」以外で走者が生きる可能性がなく、投手にとって最もセーフティなリザルトであるから。ただし単純に積み上げた数字を比較するのではなく、奪三振率(K9)や与四球との比率(K/BB)で見るのが主流になっている。

NPBはMLBのトレンドを受けている

 防御率は投手成績の基本ではあるが、セイバーメトリクス研究家のボロス・マクラッケンの「本塁打以外の安打は、運の産物」という衝撃的な発見によって、投手の被打率は、本塁打を除いて投手の責任ではない、との考えが主流になっている。それによる失点(自責点)、その比率である防御率も、重要ではないとみなされるようになった。

 QSはもともとセイバーメトリクスの考え方である。MLBでは「6回以上投げて自責点3以下」が「投手の最低限の責任=QS」とされている。沢村賞における基準は「7回以上投げて自責点3以下」だが、これは有効と言える。

「それはアメリカの基準だろう、日本には日本のやり方がある」という声が聞こえてきそうだが、NPBはMLBのトレンド、進化の影響を受けて日々変わってきている。

【次ページ】 「沢村賞では見ない指標」を比較してみると

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