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甲子園の風BACK NUMBER
「女子マネがなければ分析担当」「ユニ着用でノック補助」甲子園取材で目撃…“女子部員の立ち位置”「高校野球の当たり前が変わるきっかけに」
text by
間淳Jun Aida
photograph byJMPA
posted2023/09/01 11:01
野球に取り組む若者が憧れる甲子園。そこで見た“高校野球の常識”を変える流れとは
「事前のミーティングで分析してもらった配球の傾向を聞いて、打席で活用していました」
さらに主将の森沢拓海選手も「アナライザーの2人や控え選手が相手の打力や守備力のデータを取ってくれたので、事前の情報が頭に入ってプレーしやすかったです」と感謝した。
「ここが勝負やぞ!」と後押しするマネージャー
選手を鼓舞し、チームのムードメーカーにもなっていたのが、鳥栖工のマネージャー緒方美月さんだ。ピンチの場面ではベンチから「ここが勝負やぞ!」などと大きな声で選手を後押しし、無失点で切り抜けると力強くこぶしを突き上げた。選手たちが「誰よりも声が出ています」と声をそろえる存在だった。
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日大三に敗れた試合後、緒方さんは選手と同じように涙を流しながら聖地の砂を集めた。その姿を見れば、どれだけの時間や情熱を野球に注いできたのかを想像できる。ベンチでスコアをつける記録員にとどまらないチームの戦力となっていた。鳥栖工の甲子園初出場は、選手と一緒に喜びや苦しさを分かち合い、選手を奮い立たせた緒方さんの力も決して小さくない。
ノックの補助を務めて「満点のボール回し」
ユニホームを着てグラウンドに立ったのは、宇部鴻城の女子マネージャー岡野美和さん。夏の甲子園では初めて、試合前ノックの補助を務めた。安全面を考慮してヘルメットをかぶり、ノッカーにリズム良くボールを手渡した。岡野さんは昨秋に新チームがスタートしたタイミングでノックの補助を始めたという。聖地でも自身の役割を果たし「満点のボール渡しだったと思います。甲子園でボール渡しができて幸せしかありません」と語っている。
夏の甲子園では昨年から女子部員のノック補助が可能となり、今大会からはノッカーも認められている。今春のセンバツでは、城東の女子マネージャー永野悠菜さんが甲子園史上初めて女子ノッカーを務めた。