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ラグビーW杯を揺るがす“危険タックル”への判定…「レッドか、イエローか」微妙な判定にリーチら選手の本音「ハッキリ言って、レフェリー次第」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2023/08/29 11:06
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出場停止明けのイタリア戦で見事な「低いタックル」を仕掛けるリーチマイケル。サモア戦での一発退場がチームの意識を変えたことは間違いないが……
リーチはこの報道を受け、あらゆる記事を読んで憤慨していた。
「おかしい。冗談だと思った。寝られなかった。だったら俺のレッドカードを取り消して。(ファレルは)100%、レッドカード」
リーチだけではなかった。その裁定に欧州が「反応」した。ウェールズの名物レフェリーだったナイジェル・オーウェンス氏は、「ファレルのタックルはレッド。もしあれがレッドでなければ、ラグビーは大きなトラブルを抱えることになる」と指摘した。そして統括団体であるワールドラグビーが「上訴」すると、22日に上訴委員会はファレルに4試合の出場停止処分という最終判断を下した。
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各国の新聞電子版を読んでいると、どこもかしこもレッドカード問題について言及している。
8月25日、ニュージーランドは宿敵南アフリカに7対35で敗れた。しかも、ロックのスコット・バレットが2枚のイエロー=レッドで退場処分となり(2つ目のイエローとなったプレーは悪質なものだった)、出場停止処分が科されることになる。
W杯前の強化試合は当然のことながら必要だが、「レッドカード=出場停止」のリスクを抱えるため、「やらない方がいいんじゃないか」と私は思ったほどだ。
高価なチケット代を払ったのに…
レッドカードは、いろいろなものをスポイルする。
まず、試合の興趣を削ぐ。
4年前のW杯、イングランド対アルゼンチン戦は、前半18分にアルゼンチンにレッドが出て、まったくつまらない試合になった。何万円も出して見に来た観客が気の毒だと思った。
私見だが、レッドカードが早い段階で出た試合は、エンターテインメントとしての「品質」が損なわれ、将来的に観客の足を遠ざける一因となると思う。
そしてチームの“核”をも侵食してしまう。