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祝Jリーグ30周年! ブラジル在住記者「日本は見違えるほど強くなった」と称賛も…真の強国へ“物足りなさ打開”「5つの願い」 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2023/05/15 17:01

祝Jリーグ30周年! ブラジル在住記者「日本は見違えるほど強くなった」と称賛も…真の強国へ“物足りなさ打開”「5つの願い」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

Jリーグ開幕日の華やかなりしセレモニー。あれから30年、日本のフットボールはさらに強くなるため、どんな積み重ねをしていくべきか

 しかし当時、日本のプロスポーツは野球、相撲、ゴルフ、テニスだけ。フットボールの浸透度は野球に遠く及ばず、プロリーグを作っても成功させるのは極めて困難だっただろう。プロリーグ創設までさらに28年待たなければならなかったのは、仕方がなかったのではないか。

 今となっては不思議な気さえするが、1993年当時、日本はワールドカップ(W杯)未出場。年齢で制限付きの大会である五輪のアジア予選でさえ、1968年メキシコ大会(釜本邦茂、杉山隆一らの活躍で銅メダルを獲得)を最後に6大会続けてアジア予選で敗退していた。

 1992年に広島で行なわれたアジアカップで三浦知良らの活躍で初優勝したものの、この年12月に発表されたFIFAランキングで日本代表は66位(ちなみに、現在のFIFAランキング66位は南アフリカ)。アジアでも勝てない時代が続き、世界トップレベルとは途方もない差があった。

J創設から30年でW杯7回出場、4回のGS突破は誇っていい

 だが、Jリーグの創設と着実な歩みが状況を変えていく。

 1部だけの10クラブで始まったリーグは1998年に18クラブまで増え、1999年にJ2が、2014年にJ3が創設された。2023年現在、3部のクラブ総数は60。これ以外にも、Jリーグ参入を目指すクラブが少なくない。

 日本代表も、見違えるほど強くなった。

 Jリーグ開幕から5カ月後にカタールで集中開催された1994年W杯アジア最終予選では「ドーハの悲劇」によって惜しくも敗退したが、1998年大会のアジア最終予選でグループ2位となり、イランとのアジア地区予選プレーオフで延長でのゴールデンゴールによって悲願のW杯初出場を達成。以後は、この大会を含めて7大会連続で出場している。

 2002年に韓国と共同でアジア初のW杯を開催したが、これもJリーグがなければ不可能だった。この大会のグループステージ(GS)でロシアとチュニジアを倒して初めてベスト16入りを果たすと、2010年、2018年、2022年と計4度、GSを突破している。

 とりわけ、2022年大会では優勝経験国であるドイツとスペインを撃破してGSを首位で突破して世界を驚かせた(仮にタイムマシンに乗って1993年へ舞い戻り、開会宣言を終えた川淵チェアマンに「29年後、こんなことが起きますよ」と教えても、絶対に信じなかったはずだ)。

真の強豪国になるために願いたい“5つの視点”

 2023年4月末現在、日本代表のFIFAランキングはアジアトップの20位(注:イラン24位、韓国27位、オーストラリア29位、サウジアラビア54位)。30年間で、45カ国をごぼう抜きした。こんな国は、世界でも例がないのではないか。

【次ページ】 フットボール以外の競技も盛んなフランスが実は好例?

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