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祝Jリーグ30周年! ブラジル在住記者「日本は見違えるほど強くなった」と称賛も…真の強国へ“物足りなさ打開”「5つの願い」
posted2023/05/15 17:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
JIJI PRESS
「スポーツを愛する多くのファンの皆様に支えられまして、Jリーグは今日ここに、大きな夢の実現に向かって、その第一歩を踏み出します」
1993年5月15日夜、音と光と躍動感に溢れたセレモニーの後、川淵三郎初代チェアマンの簡潔にして凛とした宣言に、東京の旧・国立競技場を埋め尽くした5万9626人が凄まじい歓声で呼応した。それは、日本のフットボールに、さらにはスポーツ界全体に革命的な変化が起きることを予感したからではないか。
ヴェルディ川崎対横浜マリノスの開幕戦、そして翌日行なわれた開幕節4試合はいずれ劣らぬ熱戦で、計11万6105人を熱狂させた――。
あれから30年。Jリーグは、日本のフットボールを劇的に変えた。それは、ほとんどのフットボール関係者の期待や予測をはるかに上回ったのではないか。
強豪国から100~60年遅れてのプロリーグ創設
Jリーグの創設とその後の歩みは、世界のフットボールの歴史においていかなる意味を持つのか――。そのことを検証すべく、まずは世界の強豪国や主要国でプロリーグが創立された時期を確認してみた(カッコ内はJリーグに先んじた年数)。
イングランド:1888年(105年前)。※プロ化は1885年
スコットランド:1890年(103年前)
イタリア:1898年(95年前)
スペイン:1929年(64年前)
アルゼンチン:1931年(62年前)
フランス、ウルグアイ:1932年(61年前)
ブラジル:1933年(60年前)
ドイツ:1963年(30年前)※1903年に地域リーグが始まり、1932年にプロ化
韓国:1983年(10年前)※アジア初のプロリーグ
エジプト:1990年(3年前)※アフリカ初のプロリーグ
日本のプロリーグ創設は、イングランドより105年、ドイツを除く欧州強豪国から61~95年、南米強豪国から60~62年遅れた(日本では、1986年に「スペシャル・ライセンス・プレーヤー」の名称でプロ選手が容認された)。
1960年代にプロがなかったのも致し方なかったのでは
日本では、1964年の東京五輪で日本代表の監督を務めた「日本のフットボールの父」デットマール・クラマーの提言で1965年、アマチュアの日本サッカーリーグが設立された。選手のほとんどがチームの親会社の社員として身分を保証されており、事実上のセミプロリーグだった。
「もしこのときプロリーグが誕生していたら、日本のフットボールの進化のスピードはもっと速かったのではないか」と考える人がいるかもしれない。