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現地記者が目撃した…三笘薫25歳の“愛されすぎな日常”「ミトマ、ユニフォームください!」敗戦直後の敵チームが1日2回もおねだり
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2023/03/22 11:00
FAカップ準々決勝、グリムズビー戦(英4部)。チームの5得点目を決めて、サルミエントと喜ぶ三笘薫(25歳)
「W杯で、できていなかったところだと思うので、そこは純粋にやりたい。そこができないと強豪になっていけない。シンプルにボール保持を重視すればいいと思いますが、サッカーはそれだけではないとも思う。全体的に考えていかないといけない。自分も少しずつ参加して、良い形で関われたらと思います」
カタールW杯では「良い守備から、良い攻撃へ」を合言葉に、守備戦術を用いてドイツ、スペインの強豪国を撃破した。だが、決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPK戦の末に敗戦──。監督や選手たちは、攻撃力を上げないことには目標のベスト8には届かないと感じたのだろう。いかに攻撃力を上げていくかが、第2次政権のポイントになりそうだ。
ただ、「ボールを保持して試合を支配する」と言っても、ピッチ上で表現しながら勝利に結びつけるのは容易なことではない。ボール保持に意識が偏りすぎれば、前がかりになって守備がおろそかになる。あるいは、ボールを握ったとしてもファイナルサードで決め手やアイデアを欠いてしまえば、今度は効率的にゴールを奪うことから遠ざかってしまうからだ。
「ブライトンでの経験、代表メンバーに伝えられることは?」
三笘の所属するブライトンは、ロベルト・デゼルビ監督の元で優れたパスサッカーを展開し、強豪揃いのプレミアリーグで旋風を巻き起こしている。「選手の配置」を動かしながらパスをつなぐサッカーは、その美しさからイングランドで「デゼルビ・ボール」と呼ばれている。
トレーニングから「パスワーク」や「選手の動き方」といった“型”を作っていくのが特徴で、繰り返しの練習でパターン化することで、選手たちは崩しのイメージを共有しているのだ。その結果、ブライトンは多彩な攻撃を奏でている。
DFラインからのビルドアップに関しても「形が決まっている」(三笘)という。「これだけうまく後ろでビルドアップできるチームは、世界的に見てもなかなかない」と、三笘は証言する。
ファイナルサードに入ってからの決まりごとも多く、例えば、右サイドの選手がクロスを上げようとすれば、逆サイドに陣取る三笘は、自分の元へクロスが飛んでくることが事前に分かっているという。こうしたパターンや決まりごとを練習で積み重ねていくことで、ブライトンは決定機を効率的に作り出しているのだ。
そこで聞いてみた。「日本代表はボール保持の質を上げていくとのことだが、ブライトンのスタイルと繋がるところもあると思う。三笘選手が代表メンバーに伝えていけることも多いのでは?」と。三笘は次のように答えた。