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三笘の1ミリ、“VARに頼るPK”、長すぎるアディショナルタイム…厳密だったカタールW杯「人が入る余地を残したい」レフェリーの本音 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byKiichi Matsumoto/JMPA

posted2022/12/27 17:00

三笘の1ミリ、“VARに頼るPK”、長すぎるアディショナルタイム…厳密だったカタールW杯「人が入る余地を残したい」レフェリーの本音<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA

日本vsスペインを担当したビクトル・ゴメス主審(南アフリカ)。VARチェック中、日本中の誰もがこの男に注目した

――VARはあくまで主審の判断を手助けするシステムだと理解しています。それなのに、VARに引っ張られてしまっているんじゃないかと思えるようなケースが今大会にもありました。

家本 正直、そこは否定できないところがあります。グループステージのサウジアラビアとポーランドの一戦で、サウジアラビアのFWがペナルティーエリア内で相手との接触で倒れたんですけど、主審は最初、PKと判断しなかったんですね。でもVARの介入によってPKにした。明白な間違い、あるいは見過ごされた事象で介入できるVARの条件に基づくと、やや細かいと言わざるを得ない。このシーンのように(ジャッジが)厳密性のほうに寄ってしまうケースがいくつかありました。

 世界中の人々が注目するW杯ですから、ミスは許されないという感覚がどうしてもレフェリー側にはある。マインド的には、(VARに)引っ張られてしまうことは十分に理解できます。ただ、前回のロシアW杯よりは厳密性に寄ったジャッジが多かった印象ですね。いくらVARにリコメンドされて映像を確認しようが、自分の最初の判断を押し通してもいいんじゃないかというケースはほかにもありました。

――VARの浸透が、依存度を高めていると言っていいのでしょうか?

家本 外から見ている立場なので何とも言えませんが、致し方ない部分はあります。判断に迷ったとしても自分の信念に沿ってイエス、ノーを決めていた時代から、VARが介入できる事象では“迷ったら無理にイエスと言わなくていい”という心理に傾いている時代だとは思うんです。致し方ないとはしても、レフェリー自身で判定の精度を高めていくという努力にブレーキを掛けることにもなりかねない。正直、ここの折り合いは非常に難しいと言えます。

アディショナルタイム、途中から短めに?

――厳密性に寄ったという観点で言うと、アディショナルタイムが非常に長かったですね。

家本 第4審判なのかVARチームなのか分かりませんが、確かにきっちりと時間を計っていた印象。時間をトータルに管理する担当もきっといたはずです。ただノックアウトステージに入ってからは短くなったように感じませんか?

――はい、確かにそうでした。

家本 これは私のまったくの想像なんですけど、FIFAの審判委員会かどこかが“もう少し精度を緩めてもいいんじゃないの”と方針を変更した可能性はありますね。大会中にこうやって変更することは別に珍しくもないので。

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