――サッカーというスポーツは、ちょっとルーズなくらいでちょうどいいってことなのでしょうか。あまりにルーズだと困りますけど、弾力性、柔軟性というものは抜け落ちないほうがいいようにも感じます。

家本　先ほども言いましたけど、サッカーは自由度があって人間性を重視したスポーツですから、あまりにきっちりしすぎてしまうのはどうだろう、とも思います。

Jリーグ主審通算最多出場となる516試合を担当した家本さん（2021年のラストマッチ）　©︎JIJI PRESS

――ならば、一人ひとりのレフェリーのパーソナリティ、個性も大事にされてもいい、というところにもつながるかもしれませんね。

家本　今回のW杯を見た印象としては（レフェリーの）個性の幅がギュッと狭まった印象を受けました。所属する欧州や南米などのリーグでは個性が見えるレフェリーも、W杯では敢えて消していたように感じましたから。

　おそらくFIFAとして個性というところはあまり求めていないんでしょうね。判定基準は同一かつ一定でありつつも、人はロボットではありませんし、SDGsの世の中ですから、テクノロジーが発展していくとともにレフェリーそれぞれの個性がもうちょっと出てきても良かったんじゃないかなというのが大会のレフェリングを通じての私の正直な感想です。

（つづく）

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