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NHKで不敵発言“ドイツの有能33歳分析官”の鼻をへし折れ…鎌田大地が明かす“ゲーゲンプレス回避”の核心は「どこが空いているか」
posted2022/11/21 18:45
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Koki Nagahama/JMPA
11月20日のドーハは強風が吹き荒れ、上着を持ってこなかったことを後悔するほど肌寒かった。
日本代表のトレーニング場に建てられた仮設のメディアセンターにも風が叩きつけていたが、激しかったのは、その音だけではなかった。
「行け、行け、行け!」といった選手たちの声も風に乗って響いていた。これまでに聞いたことがないほどに威勢よく。
非公開のベールの向こうで、白熱したトレーニングが行われていることが窺えた――。
ドイツ分析担当コーチが重視する“奪われて最初の5秒”
この日の練習取材からの帰り道、タブレットで日本のサッカー番組を視聴した。番組はNHKの『サムライブルー ドイツ攻略ベスト8への道』。その中で、ドイツ代表のアシスタントコーチで分析担当の33歳、ダニー・レールがインタビューを受けていた。
レールは過去に、サウサンプトンでアシスタントコーチを務めており、吉田麻也と半年間一緒に仕事をしている。彼の仕事ぶりについて吉田は以前、「分析力は僕が知っている限りピカイチだと思います」と語っていた。
そのレールがインタビュー中、現在のドイツ代表を象徴する“ある戦術”について言及していた。
ゲーゲンプレッシングである。
これは相手にボールが渡った瞬間、複数人で激しいプレッシャーをかけ、ボールを即時奪回する戦術を指す。英語では「カウンタープレス」と言われているが、レールが映像内で明かしていたのは「5秒」という目安だ。
「私たちの戦術は明確で、ボールを奪われたら最初の5秒で奪い返す」
ただ単に攻撃から守備への切り替えが速いだけではない。攻撃のための立ち位置が、そのまま守備における最適なポジションとなるからこそ、即時奪回が可能となるわけだ。
ドイツの戦い方を熟知する鎌田が明かしたこと
日本の選手たちは、ドイツの強烈なゲーゲンプレスをいかにかい潜っていくか――。
これが、W杯初戦における焦点のひとつなのは間違いない。
森保ジャパンとしての対策はまさに今、入念に仕込まれつつあるようだ。
20日の練習後、フランクフルトに所属し、ドイツ代表の戦い方を熟知する鎌田大地が明かした。