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〈藤井竜王に先勝〉広瀬章人八段が「大きな自信になりました」と語った日…羽生善治48歳、藤井聡太17歳との“アウェイでの勝利”とは
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph byJIJI PRESS
posted2022/10/12 17:02
竜王戦第1局、感想戦に臨む広瀬八段(左)と藤井竜王(代表撮影)
藤井は「思っていた以上に形勢が悪いことに気づいた」(局後の感想)として、終盤で△7二飛と捨てる勝負手を放って相手玉に迫った。寄せの名手だけに、凄みを感じさせた。しかし、広瀬はぎりぎり寄らないのを読み切っていた。冷静に対応すると、藤井は万策尽きて投了した。
広瀬はタイトル獲得数や対戦成績で藤井に後れを取っていて、またも「アウェイ」のような立場だった。しかし本局では、形勢が良くなってから勝ちを急がない「鷹揚流」の指し方で勝利した。
藤井竜王にとってタイトル防衛戦第1局は「鬼門」?
藤井竜王は計11期のタイトル戦の対局で、通算35勝7敗(勝率は8割3分3厘)という圧倒的な成績を挙げている。しかし、タイトル防衛戦の第1局では、2021年の王位戦(対豊島将之竜王)、2022年の棋聖戦(対永瀬拓矢王座)、同年の王位戦(対豊島九段)、同年の竜王戦(対広瀬八段)で敗れ、6戦で2勝4敗と負け越している。第1局は「鬼門」なのだろうか……。
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プロ野球の日本シリーズでは第1戦よりも第2戦、そして第4戦と、偶数戦を重視する監督がいるという。
全盛時代の大山康晴十五世名人は、タイトル戦の第1局で敗れても、第2局でたいがい勝った。藤井も第1局で敗れた前記の3例(今期竜王戦を除く)では、第2局以降にいずれも連勝して、タイトルを防衛した。
今期竜王戦の第2局は、京都市「総本山仁和寺」で10月21、22日に行われる。藤井が勝って五分に戻すか、広瀬が連勝して竜王獲得に迫るか、シリーズの流れを大きく左右する一番となる。
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