F1ピットストップBACK NUMBER
《F1日本GPの見どころ》タイトル確定を期すフェルスタッペン、31年ぶり母国Vを狙うホンダ、鈴鹿を愛したベッテルのラストラン
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2022/10/07 11:02
今季限りの引退を表明している35歳のベッテル。07年にF1デビューし、10年から13年はレッドブルで4連覇を達成した
2つ目の注目ポイントは、今年の日本GPは久しぶりにタイトル決定戦になる可能性があるということ。かつてシーズン最終盤の一戦として行われていた日本GPは、タイトル決定の舞台となることが少なくなかったが、ヨーロッパラウンド以外のレースが増加して日本GPの後にも多くのレースが開催されるようになった09年以降は、鈴鹿でタイトルが決着することは少なく、ベッテルがシーズンを席巻した11年が鈴鹿でチャンピオンが決定した最後の年となっている。
今年はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が11年ぶりに鈴鹿でチャンピオンになるかもしれない。フェルスタッペンがファステストラップを獲得して優勝するか、フェルスタッペンが優勝し、選手権2位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)以外の誰かが2位になれば、フェルスタッペンの2連覇が決定する。
3年ぶりの母国開催
そのフェルスタッペンのパワーユニットを現場で調整しているホンダの活躍、3つ目の注目ポイントだ。ホンダは21年限りでパワーユニットマニュファクチャラーとしてのF1参戦は終了した。だが、今年からホンダ・レーシング(HRC)がレッドブルパワートレインズからの要求に応える形でパワーユニットを「技術的に支援」し、現場での運用をサポートしている。
HRCのマネージャーとしてレッドブルパワートレインズとの調整役を担っている吉野誠は、3年ぶりの鈴鹿での日本GPに興奮を抑えきれない。
「鈴鹿はホンダのホームコースであり、そこでレースすることは日本人として当然、特別な思いがあります。これだけわれわれを応援してくれるファンがスタンドを埋め尽くすサーキットはほかにはない。だから、われわれもそのファンのために良いレースを披露したい。できれば、勝ちたい。その思いはどのサーキットよりも強いです」
その日本GPでホンダのDNAが宿るパワーユニットが勝利すれば、91年以来31年ぶりの美酒となる。ホンダ・ミュージックに身も心も震わせたい。