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《F1日本GPの見どころ》タイトル確定を期すフェルスタッペン、31年ぶり母国Vを狙うホンダ、鈴鹿を愛したベッテルのラストラン
posted2022/10/07 11:02
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
3年ぶりに日本にF1が帰ってきた。10月7日、三重県の鈴鹿サーキットで、F1第18戦日本GPが開幕する。
多くの人たちがこの日を待っていた。鈴鹿サーキットによれば、すでに観戦チケットは完売。フリー走行が行われる金曜日の1日券のみが、一部のコンビニエンスストアで販売されるという盛況ぶりだ(10月5日現在)。開幕前にチケットが完売するのは、日本GP史上最多で、週末のべ36万1000人が詰めかけた06年以来、16年ぶりのことだという。
これほど人気を集めている要因は、主に3つある。ひとつは、今回の日本GPがセバスチャン・ベッテルにとって鈴鹿ラストランになるということだ。
「鈴鹿は神が作ったコース」
いまでは多くのドライバーに愛されている鈴鹿だが、ベッテルの鈴鹿愛は別格だ。それは初めて鈴鹿でレースをした09年に「鈴鹿は神が作ったコース」と称えていたことでもわかる。パンデミックで2年間、鈴鹿でF1が開催されない期間には「鈴鹿がないF1はF1ではない」というメッセージを発信。21年に中止が決まったときには「これでもう1年現役を続けるモチベーションが湧いてきた」と語っていた。
そのベッテルがついに今シーズン限りでF1を引退する。ルイス・ハミルトン(メルセデス)と並んで鈴鹿で現役最多タイとなる通算4勝を挙げているベッテルには、もうひとつ鈴鹿での勲章がある。それはコースレコードホルダーだということだ。19年の予選で17年にハミルトンが記録した1分27秒319を更新する1分27秒064を叩き出し、ポールポジションを獲得。
「今年はポールポジション争いは難しそうだけど、とにかく全力でアタックしたい」と最後の鈴鹿に胸を躍らせていた。