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「日本で一番のスタジアムといえば?」新横浜駅と比べると…かなり地味な“ナゾの日産スタジアム駅”「JR小机駅」には何がある?
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph byMasashi Soiri
posted2022/08/27 17:00
JR横浜線の“ナゾの日産スタジアム駅”小机駅には何がある? 平日昼間に訪れてみた
サッカーの国際試合やJリーグのイメージが強い日産スタジアムだが、横浜市がスタジアム建設を決めた時点では2002年のW杯招致も決定していなかった。むしろ、最初の目的は1998年の国民体育大会。1993年にW杯の国内開催候補地に決まり、1996年にはここをメインスタジアムとして2008年のオリンピック開催都市への立候補も表明している。こうした過程を経て7万人規模の日本一のスタジアムとなって、1998年に完成した。なお、日産スタジアムという名称は、ネーミングライツを導入した2005年以降のことである。
そして2002年のW杯を終えた1年後、2003年に遊水池としての運用もはじまった。さっそく同年の8月には大雨による鶴見川の増水を受けて約7000立方メートルが流入。以降、2004年の台風22号、2014年の台風18号など22回に渡って増水した水が流入し、洪水被害を防いできた。ラグビーW杯の真っ只中だった2019年の台風19号では約93万6000立方メートルもの水が流れこみ、10月12日の試合が中止されたことを覚えている人もいるだろうか。スタジアムは1階部分に1000本以上の柱を建てた高床式構造になっているので、ピッチ内に水が流れ込むことがない。おかげで、台風が去った翌10月13日には無事に試合が行われたのだ。
かつて小机には“城”があった
ともあれ、この日産スタジアムが鎮座する鶴見川遊水池は、鶴見川下流の横浜・川崎の市街地を洪水から守る役割を果たしている。計画としては遊水池の方が先だから、“スタジアムが遊水池にある”というよりは、“遊水池の上に平時利用のスタジアムができた”とするほうが正しいのだろう。
小机駅の北側、スタジアムとの間に広がる住宅地や田畑は、同じ氾濫原の中でも遊水池にはならなかった一帯といっていい。そして小机駅の南側(スタジアムとは反対側)はすぐに丘陵地の高台になっているから、氾濫原とのちょうど境目らへんにあるのが小机駅なのだ。
そんな氾濫原たる日産スタジアムの周りを歩く。南東側には新横浜の町並みと遠くにランドマークタワーもよく見える。鶴見川を挟んだ向こうには、首都高が通り、港北インターチェンジもすぐ近く。第三京浜は港北ICからまっすぐ鶴見川を渡ってきて、横浜の中心部を目指す。