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<イチローは15年で達成>本塁打狙いのアッパースイングが原因? 減り続けるMLBの安打数、カブレラの史上33人目3000本安打に続く打者は…
posted2022/06/17 06:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
打球に角度を付ける「バレルゾーン理論」の浸透に伴い、本塁打依存の傾向が強くなって久しい。今季は過去数年よりも「飛ばない球」が使用され、本塁打数減少が顕著になっているだけでなく、平均打率も低下した。そんな中、4月23日、タイガースの主砲ミゲル・カブレラが、史上33人目の通算3000本安打を達成。20歳のデビュー当時、まだあどけなかったベネズエラ出身の若者が、19年の歳月をかけて大記録に到達した。
ただ、次の大台到達者は、当分、生まれそうにない。現役で2000安打台の選手は、ロビンソン・カノ(パドレス傘下3Aエルパソ)、ヤディアー・モリーナ(カージナルス)、ジョーイ・ボット(レッズ)の3人だけで、いずれも38歳以上。今後の現役年数次第とはいえ、実現性は高くない。
安打数激減の原因
実際、年間200本安打を達成したのは、19年のウィット・メリフィールド(ロイヤルズ)、ラファエル・ディバース(レッドソックス)の2人が最後。コロナ禍で公式戦が60試合に短縮された20年は例外としても、通常通り162試合が実施された昨季は、トレイ・ターナー(ドジャース)の195本が最多で、180本以上はわずか5人しかいなかった。打率3割以上がメジャー全体で14人と、01年の46人、11年の26人と比較しても、激減傾向にあることは疑いようもない。その背景に極端な守備シフトの影響があるとはいえ、全方向へ打ち分けるタイプの選手が減少したことの裏返しでもあり、本塁打狙いのアッパースイングが主流となったことが、安打数減の一因と指摘する声も少なくない。