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反対16カ国も「シニア昇格年齢引き上げ」が可決…新ルールで五輪出場資格が消えた“荒川静香以来の天才少女”とは?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto/JMPA、AFLO
posted2022/06/10 11:01
国際スケート連盟(ISU)総会において、フィギュアスケートのシニアのカテゴリーに出場できる年齢の引き上げが決まった
例えば日本では、現在中学2年生の島田麻央もその一人だ。2021年11月の全日本ジュニア選手権では、荒川静香以来27年ぶりとなる中学1年生での優勝を果たした。すでに4回転トウループを試合で何度も成功させていることで、今後の活躍に期待が集まっていた。
島田も「(2026年の)ミラノ(・コルティナダンペッツォ)オリンピックで金メダルを」と意欲を口にしてきたが、彼女が17歳になるのは2025年10月のこと。2025年7月1日の時点でまだ16歳のため、今回のルール改正によってミラノ五輪出場の資格が失われたことになる。最初に目指せるオリンピックは21歳で迎える2030年大会だ。もちろん、影響は島田に限ったことではないし、日本だけの話でもない。だからこそ、説得力ある説明がきちんとなされるべきである。
シニア昇格年齢引き上げは“第一歩”にすぎない
何よりも選手が身体的にも精神的にもいたずらに過度に消耗せずに競技を続けていける環境が生み出されることは、誰もが願っているはずだ。今回のシニア昇格年齢引き上げが、そこへの一歩となるかどうか。少なくとも、これで一件落着ではない。
選手人生がより長く維持できる環境が整えば、それによって氷上で見せられる、伝えられるプログラムも深化され、フィギュアスケートというスポーツをより豊かにもするはずだ。