酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
日本の審判に「戦力外通告」がある一方で… アメリカで物議を醸す「AIの厳格すぎストライク判定」とは〈佐々木朗希の件以外に今季退場3回〉
posted2022/06/03 11:04
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
今年前半のプロ野球の話題として「審判と選手をめぐるトラブル」が上位に挙がってくることになるだろう。
まだ開幕2カ月少しだが、すでに審判による「退場宣告」が3件、大きく話題となった出来事もあった。
審判による退場宣告のシチュエーションを振り返る
(1)3月29日:中日-DeNA戦で、DeNAの大和が見逃し三振の判定に対して不服を表す行動(バットで線を引くような動き)をし、敷田直人球審が退場を宣告した。
(2)4月24日:オリックス-ロッテ戦で白井一行球審はストライクボールの判定に不服そうな表情をした佐々木朗希に詰め寄り注意をした。これは退場とはならなかった事象だが、大きな話題となった。
(3)5月14日:オリックス-ロッテ戦でエチェバリアが見逃し三振に倒れて不平を口にする。これに加わって抗議した井口資仁監督に対して福家英登球審は退場を告げた。
(4)翌5月15日:同カードで白井一行球審が、見逃し三振に倒れ抗議したレアードを退場処分にした。
筆者は4月24日、5月15日の試合を現場で見ていた。佐々木朗希の一件でロッテとは因縁めいた関係になっていた白井球審だったが、退場を宣告することに躊躇はなかった。
さらに15日の試合ではロッテの先発ロメロがストライクボールの判定の後、がっくりとしゃがみ込むこともあった。ロメロは白井球審と何事か話していたが、外国人選手を中心にロッテサイドはこのときの審判クルーに強い不信感を抱いていたように感じられた。
ここで改めて野球規則で確認をしておきたい。
《公認野球規則 8.02 審判員の裁定》
〈(a)打球がフェアかファウルか、投球がストライクかボールか、あるいは走者がアウトかセーフかという裁定に限らず、審判員の判断に基づく裁定は最終のものであるから、プレーヤー、監督、コーチまたは控えのプレーヤーが、その裁定に対して、異議を唱えることは許されない。
【原注】ボール、ストライクの判定について異議を唱えるためにプレーヤーが守備位置または塁を離れたり、監督またはコーチがベンチまたはコーチスボックスを離れることは許されない。もし、宣告に異議を唱えるために本塁に向かってスタートすれば、警告が発せられる。警告にもかかわらず本塁に近づけば、試合から除かれる。〉
佐々木朗希は全国的に注目された試合だったが
一般的には「投球がストライクゾーンを通過すればストライク」という認識が多いだろうが、野球のルールでは「審判が判断した投球がストライク」となっている。その判断は最終的なものだから、抗議することはできない。