サッカーの尻尾BACK NUMBER
宿敵相手に衝撃の2ゴールも… 旗手怜央「その点ではフロンターレに似ている」稀代の万能型が考える“セルティックと欧州での生き残り方”
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byCraig Foy/Getty Images(Celtic FC)
posted2022/06/26 18:02
インサイドハーフ、サイドバックなどポリバレント性が売りの旗手怜央。欧州での戦いで感じることとは?
セルティックでは4-3-3のインサイドハーフで固定されて半シーズンを戦った。3月の日本代表対ベトナム戦でも同じ位置で起用された。ポステコグルー監督は「複数のポジションでできる力があるが、ベストはあのポジション」と断言する。
もし監督にサイドバックをやれと言われたら
「もし監督にサイドバックをやれと言われたら、生き抜くためなのでやります。でもインサイドハーフが僕にとって攻守両面で自分の力を発揮できるところだと思う。このポジションでできて満足しています。
監督にはFWの近く、ゴールになるべく近い位置でプレーしようと言われていて、得点も求められます。それが間違いなく結果につながっている。そしていま意識しているのは、自分がフリーになれるポジションを探すことです。
サイドバックが中に入ってきたタイミングで、自分はどこでフリーになれるのか。常に、味方と敵とスペースを探すことを意識している。セルティックのサッカーは攻撃的で、その点ではフロンターレに似ている部分もあります。フロンターレにはこのポジションに偉大な選手が多くいたので学ぶことが多く、それが今につながっている。そう実感しています」
フロンターレでの経験と海外挑戦
フロンターレで過ごした時間がもたらしたものは、今も旗手の中にしっかりと流れ続けている。意外なことに日本にいた頃、彼は何が何でも海外にいこうとは考えていなかった。多くの日本人選手ができるだけ早く海外を目指す現代においては珍しい事例だ。
「フロンターレで試合に出て、結果を残し、タイトルをとってから海外へ行く。それがない限り、僕は海外に行く気はなかった。そこが果たせたと思っているから、チャンスがあるなら行ってみようと。僕はサッカー選手としてよりも、人としてどうあるかを重視しています。海外に来て、人間として成長したかった。こっちは言語、文化、気候、ピッチもプレースタイルも日本とは全く違う。そこに飛び込めば、失敗しようが成功しようが必ず自分の成長につながる。そのためにこの道を選んだので」
苦労を求めて海外へ渡る。そういう思いで海外へ行くサッカー選手はそれほど多くはないはずだ。すべてが機能する日本の居心地の良さから逃れるために、彼は欧州へ渡った。そして奇しくも3人の日本人選手とプレーすることになった。