サッカーの尻尾BACK NUMBER
「最初は“俊輔、俊輔”と」「他の日本人が来たときに…」古橋亨梧がセルティックで信頼と愛情を得たワケ《日本人4人連続インタビュー》
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byREUTERS/AFLO(Celtic FC)
posted2022/06/26 18:00
古橋亨梧はゴールを積み重ね、セルティックにおける日本人の評価を再び高めた
「まずは自分の持ち味をだそうと。去年1年、神戸でFWとしてプレーして、自分の持ち味は裏抜けとゴール前のポジショニングなんだなと。それをスコットランドでも続けないといけない。言葉の壁はあるけど、それで信頼感は得られると思いました」
いつも見てくれる感覚があった、というイニエスタはもういない。意思を伝えようにも英語力は限られている。とにかく自分のプレーを見せ、結果に結びつけるしかなかった。
ゴールが決まるごとに、やりやすくなっていって
大きかったのは初先発でのハットトリックだ。ホームでの初試合で古橋は3度ネットを揺らし、まだ彼のことをよく知らなかったファン、そしてチームメイトに強烈なインパクトを残した。すぐにパスが集まるように。駆け出しの重要性を改めて感じた。
「ゴールが決まるごとに、やりやすくなっていって。周りの信頼ももらえ、パスも出るようになった。FWなのでとにかく結果が大事。その意味で早く点をとることができてよかった。そうやってより周囲との絆が強くなっていったのだと思います」
シーズンを折り返すまでに数々の重要なゴールを決め、タイトルももたらした古橋はもはやチームに欠かせない選手になっていた。負傷による離脱は想定外だったが、4月にはピッチに復帰。待ち望んでいたファンの喝采を浴び、1年目で優勝を決めた。今では彼を中村と比較する人はいない。
「最初の頃はファンに会うたびに『俊輔、俊輔!』と言われてましたし、俊輔さんがここで築いたものは本当にすごい。ただ、比較されるプレッシャーはそれほどなかったです。僕は僕であって、俊輔さんとはプレースタイルもポジションも違う。僕自身であり続ければ、同じ土台に立てるとは思わないけど、少しでも近づけるはず。そして古橋亨梧というイメージを色んな人に持ってもらえると思う」
「また他の日本人が来た時に入りやすい環境を」
グラスゴーという土地の半分において、日本人フットボーラーへの評価はこれまで以上に高くなっている。中村が築いたものを12年後に古橋が引き継いだわけだ。
「セルティックといえば俊輔さんや水野(晃樹)さんの印象が強いので、そのふたりのイメージを潰さないように僕はとにかくがんばらないと。素晴らしい選手がここでプレーしていたので、その名に恥じぬように。そうすることで、また他の日本人が来たときに入りやすい環境をつくる。現地のファンに、日本人はすごいと思ってもらえるようにしたい」