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「夢のような新戦力が、まさか短期間で」45億円移籍→骨折から復帰→食事会で祝福のち再び…日本代表DF伊藤洋輝の不運をバイエルン番記者が嘆く
posted2025/04/22 06:05

バイエルン1年目は苦難のシーズンとなった伊藤洋輝。番記者のリアルな本音は?
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ゲオルク・ホルツァーGeorg Holzner / Kicker
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Craig Foy/Getty Images
屈辱的なシーズン後、バイエルンは伊藤に照準を
昨季、FCバイエルン・ミュンヘンは伊藤洋輝が所属していたVfBシュツットガルトを精査していた。まず何より、バイエルンのウリ・ヘーネス名誉会長の甥、セバスティアン・ヘーネスが監督を務めているチームだ。2023年4月に就任するや、シュツットガルトを降格圏から脱出させ、プレーオフの末に残留を勝ち取った指揮官は、初のフルシーズンとなった昨季、驚異的な躍進を遂げ、ドイツの盟主バイエルンを上回る2位で終えた。
レバークーゼンに無敗優勝を許したバイエルンのブンデスリーガ連覇は11で終わり、3位フィニッシュは13年ぶり。屈辱的なシーズンを終えた夏、バイエルンのフロントがシュツットガルトの選手を物色したのは、自然な流れだった。
アンジェロ・スティラー、クリス・ヒューリッヒ、セール・ギラシ、そして伊藤──。
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前者ふたりは獲得に至らず、ギラシにはボルシア・ドルトムントの横槍が入ったが、25歳の日本代表DFとはすんなり契約がまとまった。2024年6月中旬のことだった。
45億円超の移籍金でも「夢のような新戦力だ」
静岡県出身の左利きの守備者は、昨季の総失点数が39とリーグ2位タイの記録を残したシュツットガルトの守備陣の主軸で、成功を支えた重要な選手。4バックの左半分と3バックの左に対応する汎用性も魅力的だ。バイエルンの分析担当者はそう考え、上層部の合意を得ると、クラブは推定総額2700万ユーロ(当時のレートで約45億5000万円)の移籍金で伊藤を迎えた。
ポゼッションスタイルを掲げるヘーネス監督のチームにおいて、伊藤は組み立ての起点としても有能だった。バイエルンは元々、ディフェンダーに守備以外の能力を求めるクラブで、最終ラインから前方のフリーの選手を見つけ、強くて正確なパスを前につけることを望む。その上、守備力にも秀でる伊藤は、バイエルンのスポーツ・ディレクターを務めるクリストフ・フロイント曰く、「夢のような新戦力」だった。またスポーツ部門の役員マックス・エベールは、次のように話した。