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《日本女子最年少メダリスト誕生!》「全然JKらしいことはできてないんですけど…」スノボ村瀬心椛17歳が語っていた“一番やりたいこと”
posted2022/02/16 06:01
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Lee Ponzio
スノーボード・ビッグエア女子で17歳の村瀬心椛(ここも)が銅メダルを獲得した。予選2位通過の勢いそのままに、バックサイドダブルコーク1080、フロントサイド1080と完成度の高い2本のエアを揃えて表彰台を勝ち取り、「夢みたい、本当に信じられない」と涙をぬぐった。
岐阜第一高に通う現役の高校生。4年前の平昌五輪は年齢制限で出場が叶わなかったが、右膝の大ケガも乗り越えて今大会の日本選手団最年少選手に名を連ねると、2010年バンクーバー大会の浅田真央(19歳)の記録を大幅に更新する冬季五輪日本女子最年少メダリストに輝いた。
今回は、五輪直前、雑誌Numberのインタビューに応じた有料記事を特別に無料公開します。<初出:Sports Graphic Number 1045号(2022年2月3日発売)、肩書などはすべて当時>
村瀬心椛のパンツは太くて長い。日本代表のウェアの場合、女子選手ならSSやSサイズあたりが普通なのに、村瀬は大柄な男子が着用するようなOサイズを選ぶ。
その理由は、村瀬が「カッコよさ」をどう表現するかを考え始めたことにある。
「これまで黙々と集中して練習してたんですけど、動画を撮って見返した時に、やっぱりスタイルとかそういうのが足りないなって感じたんです」
どうしたら自分なりのスタイルが出せるのか。17歳の出した答えはこうだった。
「ただ黙々と練習しているだけじゃうまくなれない。やっぱり楽しさも必要。最近本当にスノーボードが楽しい! って思い始めていて、自分が楽しく滑っていればスタイルも溢れ出てくると思うんです。格好ひとつで気分も変わってくるので、パンツも太くして滑るようにしました。丈も長いですけど、自分は動きやすいし、それが一番合う。例えばパンツが細かったら、今日はちょっとダメだなって(笑)」
誰が見てもかっこいいと思える選手に
集中して自分の世界に入り込んで練習する時間は必要。それと同時に、友達と一緒に和気あいあいと滑る機会や、同じスノーボーダーの妹・由徠と練習後に動画を撮り合う時間も大切にするようになった。
「今年ぐらいからビッグエア以上にスロープスタイルの方が好きになってきた」というのも自然な流れかもしれない。レールを使うジブセクションとジャンプセクションが組み合わさったスロープスタイルの方が演技構成の自由度がはるかに高いからだ。その分“カッコよさ”を表す方法をいろいろと考えられる。
そんな村瀬にとって、競技は違えどもちょうどいい目標となっているのが、東京五輪のスケートボード日本代表だった3歳年上の西村碧莉である。
「碧莉ちゃんは滑りも服装とかもカッコいい。私も誰が見ても、スノーボードをやらない一般の方が見ても、かっこいいと思えるような選手になりたいんです」
ケガの影響で本来のパフォーマンスを出せなかったとはいえ、東京五輪での西村の滑りは胸を打つものがあった。
「前日練習でひどいケガをしちゃったのに、笑顔で大会に挑んで、あんな硬いコンクリートに叩きつけられても何回も何回も挑戦する碧莉ちゃんの姿が本当にカッコよかった。私も頑張らないといけないと思って、すぐ次の日から富山の施設に行ってずっと練習してました」