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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「活躍をとても嬉しく思っています」 キャシー・リードが語る“村元&高橋への思い”とアイスダンスの未来《現在は指導者に》
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAFLO
posted2022/02/11 17:02
現在はコーチ、振付師として活動しているキャシー・リードさん。指導する來田・森田組は全日本ジュニアチャンピオンに
振付の難しいのは、どういうところなのだろうか。そう聞くと、ちょっと考えてからキャシーはこう答えた。
「何か違うものをやりたいといつも思っているのですが、日本ではそれがちょっと難しいこともあります。過去の偉大なスケーターが使った音楽を使いたい、という人が多いですね。それも良いことですけれど、もっと自分らしい、他の人のものではない個性を出して欲しい。使用するのもクラシック音楽だけでなく、違うタイプのものもやって、これまでの心地よいゾーンから外に踏み出してみて欲しいと思うんです」
それは音楽だけでなく、スケートのスタイルについても言えるのだという。
「濱田先生は、少しプッシュさせてくれます。でも選手本人がそのスタイルを気に入ってくれないといけないので、まず新しいものに興味を持ってもらうことが大事だと思っています」
日本のアイスダンスのために
キャシーたちが日本スケート連盟に移籍した2006年は、荒川静香がトリノでアジア人として初の金メダルを手にした年だった。日本にフィギュアスケートの本格的なブームが到来。だがその恩恵を受けたのはシングルのみで、アイスダンスにスポットライトが当てられることは、ほとんどなかった。
「シングルはメディアから注目されていたけれど、アイスダンスはテレビで演技を全て映してもらえないこともありました。でも今はアイスダンスもテレビで注目されるようになってきた。将来のチームにとってもいい環境だと思います」
キャシーとクリスは、日本の代表として競技に出始めてから、日本のアイスダンスのために何かできることはないかと思っていたという。
「日本のシングルには良い選手が大勢います。でも、フィギュアスケートはシングルだけでなく、アイスダンスもできるのだということを人々に見せたかった。何かポジティブなことをしたいと思った。クリスも同じ気持ちでした」
二人で次世代の日本のアイスダンサーを育成するため、2020年3月にクリスもデトロイトから日本に帰国する準備を進めていた。その矢先に突然倒れ、30歳の若さで亡くなった。