藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
香川真司マンU移籍から10年、セルティックに前田大然・旗手怜央・井手口陽介が… 藤田俊哉が見る海外移籍の変化と”次なる成長案”とは
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byIan MacNicol/Getty Images
posted2022/01/26 11:01
前田大然を労い、井手口陽介を送り出すポステコグルー監督。セルティックの「日本人ブーム」は海外移籍の新たな潮流となるか
ドイツのメガクラブであるドルトムントから、世界的なクラブのマンチェスター・ユナイテッドに移籍して大きなインパクトを残した。それはいまでも色褪せないほどのものである。
最近の例では、プレミアリーグのチャンピオンクラブであるリバプールへ移籍した南野拓実が注目を集めた。それから、今シーズンよりアーセナルと契約した冨安健洋のインパクトも大きい。彼らが現状における最高レベルのクラブに所属していると考えていい。
さらには現在、イタリア・セリエAのサンプドリアでプレーしている吉田麻也。オランダよりサウサンプトンに移籍した彼はプレミアリーグで8シーズンを過ごした。150試合以上のキャリアを持ち、確かな実績を残している。プレミアリーグにおいて日本人選手のパイオニアは彼だろう。
5大リーグ以外で活躍する選手が増加している
このように、Jリーグ元年をきっかけに多くの日本人選手が海外での挑戦を続けている。
彼らは移籍先クラブでの活躍が評価され、より好条件の提示を受けて契約を更新する。またはステップアップの移籍をする選手も増えてきた。
その移籍先に関しても様々な国へ拡大した。
ヨーロッパの5大リーグ以外にもオランダ、ベルギー、ポルトガル、スコットランド、オーストリア、スイス、ロシアなどの欧州の諸外国でプレーする選手も増えた。
欧州5大リーグ以外にも、近隣の国にはCL、ELに毎年出場するようなビッグクラブも多い。それもあり個人のレベルアップを目的としたクラブ選択や、ターゲットクラブへの移籍を見据えた経験を積むためのクラブ選択をする選手など選択肢が増えた。
一方で、海外での確かな実績をもってJリーグへ復帰し、プレーしている酒井宏樹や大迫勇也、長友佑都などの選手もいる。これらはヨーロッパや南米といったサッカー先進国の選手たちのキャリア形成に似てきたように感じている。それを踏まえても、Jリーグの30年間における選手の成長速度の速さがはっきり見てとれる。
欧州のように100年以上のフットボールの歴史を持つ国の選手たちのキャリア形成と日本人選手たちのそれが近いものになりつつあることが私は嬉しい。それらが羨ましくも感じている。
欧州サッカー界が備えている驚きの情報網
クラブのスケール感や経験値においては、まだまだ先を走っている欧州フットボール界であるが、そんな彼らの絶え間無い努力を垣間見ることが多々ある。特に情報収集に関してのネットワークとその情報量には驚かされるばかり。日々の暮らしの中でオランダの各クラブ関係者(テクニカルディレクターや指導者)と話す機会が多いが信じられないくらいに日本のこともよく知っている。
特に選手について、その豊富な情報のもとに質問してくる。