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久保建英がエメリ戦術にハメられた? “代表前の古巣ビジャレアル戦”撮影カメラマンが見た苦闘の要因〈少年ファンはユニをおねだり〉
posted2022/01/25 11:03
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
スペインを中心にヨーロッパ各国でフットボールの撮影をする日本人フォトグラファー中島大介氏。カタールW杯予選を前に古巣ビジャレアルと戦った久保建英の姿を撮ってもらいつつ、ピッチサイドでの所感を記してもらった。
1月22日、リーガ第22節ビジャレアルvsマジョルカ戦の撮影のためバレンシア州ビジャレアルのデ・ラ・セラミカ・スタジアムを訪れました。キックオフは16時15分。青空が大きな雲で隠され、やや冷たい風の吹く天候でした。
昨シーズンのスタートを切った古巣との対戦となった久保は、予想通りの先発。直近の国王杯での直接FKでのゴールを勢いに繋げたいところですが、CLのグループステージを突破している格上を相手に厳しい戦いが予想されました。
とはいえ、マジョルカの選手がアップを終えて引き上げる際には、久保とイ・ガンインが微笑み合う瞬間も撮影でき、必要以上に気負うこともなく、リラックスして試合に臨めているようでした。
ビジャレアルのマスコットは、チームの愛称であるイエローサブマリンから、頭部が潜水艦を模した人形で、軽快なダンスをアップ中に披露していました。
またサブとなったビジャレアルGKアセンホは、キーパーグローブを持参した少年ファンにサインとメッセージをプレゼント。周りの観客から拍手が起きました。
アップの際、先発メンバーの久保とバタグリアが衝突する場面がありました。バタグリアは頭部に出血がありアップ途中で引き上げましたが、無事そのまま先発となり、その2人が並んでの入場となりました。
現地カメラマンも久保の一挙手一投足に注目。キックオフ直前、久保がライン際で水分補給をした際には、密着でカメラを向けました。
エメリは“久保の対面”の陣容をいじってきた
久保は前節同様、中盤右サイドの位置に入りました。対面するビジャレアルの左サイドバックには、エストゥピニャンではなく、ペドラサが入りました。
対するビジャレアルのエメリ監督は、特に久保と対面するビジャレアル左サイドの陣容をいじってきているように感じました。
サイドバックのペドラサが中盤のモイ・ゴメスを超えた位置を取ることによって、久保とマフェオの間で守備に付くべき選手が曖昧になってしまいました。さらに、モイとトップの位置に入ったアルベルト・モレノもポジションチェンジを仕掛けてきます。
その対応ができないまま前半12分、マジョルカ陣内で久保が2人のマークにつかねばならない状況をつくられます。結果、ペドラサが久保のマークが一瞬ズレたところに入れたライナー性のクロスがオウンゴールに繋がってしまいました。
ビジャレアルとしてみればサイドバックが高い位置を取るというリスクはありましたが、スペイン代表でもある左CBパウ・トーレスには、そのスペースをカバーできるだけの能力があります。またダニ・パレホもフォローに入ることで、マジョルカの右サイドをパニックに陥れました。