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29歳でGS最高成績へ…“狙い通りの遅咲き”ダニエル太郎がフェデラーに憧れる理由「必死でポイントを取りにいってる感じじゃない」 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byMano Hiromasa

posted2022/01/25 11:01

29歳でGS最高成績へ…“狙い通りの遅咲き”ダニエル太郎がフェデラーに憧れる理由「必死でポイントを取りにいってる感じじゃない」<Number Web> photograph by Mano Hiromasa

全豪オープンで元王者のアンディ・マリーをストレートで退ける大金星をあげたダニエル太郎

「今すごい集中して練習しているのがサーブ。がんばってるんですけど、すぐに良くなるものでもないので、まあちょっとずつですね。ちょこちょこ上がっていけばと思う。サーブが一番僕のもったいないところなので」

 191cmの長身は、マリーやノバク・ジョコビッチと同クラス。確かにサーブは「もったいない部分」だった。

 もう一つの大きな変化は、果敢にネットに出るスタイルへの進化だ。13歳から24歳までスペインのバレンシアを拠点にしていたダニエルのテニスは、まさにクレーの本場仕込み。しぶといグラウンドストロークが持ち味で、「子供のときからずっと練習の80パーセントくらいをベースラインのラリーに割いていた」と振り返る。

「クレーで強くなればハードコートでも勝てる。クレーで身につく技術はどのサーフェスでも大切なもの」が身上だったが、クレーコート・プレーヤーでも前へ前へと入っていく攻撃的スタイルが主流の今の時代、ダニエルもそこが課題だった。

憧れはフェデラー「幸せっていう雰囲気がすごい」

 プレースタイルを変えるということは、怖れをともなった相当の努力が必要なはずだが、「ハードワーク」とか「努力」とか「必死」といった言葉やイメージをダニエルは好まない。理想はいつだってロジャー・フェデラーだった。

「プレーも自然だし、必死でポイントを取りにいってる感じじゃなく、プレーすること自体が楽しくて、幸せっていう雰囲気がすごい。苦しんで苦しんで優勝っていうのもすごいけど、僕はそういうのをあんまり見たくないかな」

 自身のテニスが粘って苦しんで1ポイントをもぎ取るものだったから、フェデラーへの憧れが募ったのかもしれない。

後ろ前にかぶる“トレードマークのキャップ”もやめた

 体格も変わった。体重に関してはATPの公式サイトなどのデータが毎年正確にアップデートされているわけではないが、少なくとも2016年に76kgと紹介されていた体重は今、84kgになっている。これも「毎年2kgずつ増やしていって3、4年後に理想の体重にできれば」という計画があった。実際は計画通りには増やせず、予定年数をオーバーしたものの、身長をフルに生かしてショットにパワーを乗せることができるようになった。安定したストロークをベースに、さらに多くの武器がプラスされてきたのだ。

【次ページ】 前被りキャップを封印したワケ

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#ダニエル太郎
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