プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人“10連敗で大失速”のポイント、坂本勇人<阪神戦6-0からの交代>の真相とは? 原監督は「用兵のミス」と語ったが、実は…
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2021/11/01 17:04
今季はレギュラーシーズン117試合に出場し、打率.271だった坂本。CSでの“下剋上”にはキャプテンの活躍が必要になる
坂本「マイナスなことは一切、考えない」
実は連敗中の坂本は43打数8安打の打率1割8分6厘で、岡本の2割ちょうど、後半に少しずつ打撃を取り戻してきた丸の2割7分に比べてもワーストの数字で、ほとんど仕事ができていなかった。それがそのままチームの成績に反映されていた訳である。
10敗目の10月16日の広島戦で右手首付近に死球を受け、「通常なら試合に出られるような状況ではなかった」(原監督)という。それでも3位確保、CS出場権確保という戦いが続く間は、痛む素振りも見せずにグラウンドに立ち続けてきた。その後は最終戦を欠場し、コンディションの再調整を行った結果、阪神とのCSを前にした10月31日の東京ドームでの全体練習ではフリー打撃も再開。28スイングで左右の外野席に打球を放り込むなど強い当たりも見せていたという。
「僕は勝つことしか考えていなかった。負けたらどうしようとかマイナスなことは一切、考えない」
東京五輪のときに坂本から聞いた話の中で印象的だった言葉だ。
このポジティブシンキングが逆境での強さの秘密であり、だからこそそんな坂本の姿を見てチームも生き返るのである。
下克上での日本一を狙う巨人のポストシーズン。カギはキャプテン・坂本のバットが握っている。
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