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福島県予選で波乱「14回連続甲子園が消えた夏」 聖光学院監督が明かす“最後のミーティング”「選手たちは笑顔だった」 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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posted2021/07/25 17:45

福島県予選で波乱「14回連続甲子園が消えた夏」 聖光学院監督が明かす“最後のミーティング”「選手たちは笑顔だった」<Number Web> photograph by Genki Taguchi

最後のバッター2年生山浅を3年生たちが抱えながらベンチへ下がる

「夏前に追い込みたかったんで。坂本たちとも話して、みんなでやろうと決めて。本当にきつかったけど、やってよかったです」

 斎藤はメンバーの気概、チームの歩みを称えるように喜んでいたものである。

「1日だけだったけど、すごく中身が濃かったよね。翌日の壮行試合なんか、1回からみんな泣きながらプレーするくらい、気持ちが入ってた。この時に俺は思ったね。『最高のチームに仕上がった!』って。坂本と谷地は、名実ともにチームの顔になってくれた」

Bチームの「不格好な千羽鶴」

 ベンチ入り選手の生き様。その背中に触れたメンバー外の3年生や下級生たちから「このチームで負けたらしょうがない」と、心から送り出されて初めて「3.ベンチメンバーと控え選手たちとの結束」が生まれる。

 夏の初戦前夜。主将の坂本は選手寮の点呼で、Bチームで主将を務める2年生の赤堀颯に呼び出された。整列していた後輩たちを代表して彼から手渡されたのは、千羽鶴だった。

「ビックリしました。真っ先に『かわいい奴らだな』って思っちゃいましたけど(笑)、嬉しかったです。『自分たちには仲間がいる。気負うことなく戦える』って思えました」

 少し照れ臭そうに回想する坂本の想いを補完するように、Bチームの監督でもある横山は「こんなの初めてだよ」と、しみじみ語る。

「赤堀がさ、『3年生のために何かしたいです』って言いだして、下級生全員で千羽鶴を作ったんだよ。不器用な奴らが折った不格好な鶴だけどさ、ベンチ入りメンバーに想いが伝わらないわけないだろって。聖光学院らしいチームになってくれたよな」

 スタンドの控え選手たちが、ベンチに入る選手に「俺たちが勝たせてやる!」と、この世情により声を出して応援ができずとも、目一杯の気をグラウンドに届ける。

 想いを全身で受けたメンバーたちが「俺たちがお前らを負けさせない!」と、情熱のすべてをグラウンドに注ぎ込む。

 毎年、この境地に達して初めてチームが仕上がる。聖光学院が本物となる。

監督も選手も笑った「俺はお前らに騙されたってことか?」

 高校野球の歴史に挑んだ2021年の夏。本物で、完璧な聖光学院は、ベスト8で散った。

 最後のミーティング。

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