マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
大谷翔平の恩師 花巻東・佐々木監督の高1長男(183cm・117kg)のポテンシャル「清宮幸太郎の1年夏を思い出す」
posted2021/07/26 17:02
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
KYODO
コロナだって、球児たちの「夏」はやって来る。
梅雨明けと共に、この夏も甲子園予選を巡る旅が始まった。
今年は、まず「岩手」だ。花巻東高・佐々木洋監督の長男・麟太郎くんがすごいらしい。
この春、「ほかでは野球はやらない!」とお父さんのもとに飛び込んで、入学と同時に打線の一角を占めると、5月の春季県大会では2打席連続ホーマー。高校生になったばっかりなのに、もう「高校生ばなれ」した長打力を発揮しているという。
183cm117kg……ちょっとビックリするサイズだが、果たして、どんな野球をするのだろう。
「いやいや、まだお相撲さんですよ」
2回戦・高田高戦の岩手県営球場は突き抜けるような青空と、夏本番到来を思わせる強烈な日射し。それでも、高原のようなカラッとした風が吹きわたるから救われる。
いつもなら、記者の居場所になるネット裏スタンド下の「記者席」が、今年は使えないという。通路もダグアウト裏も立ち入り禁止になっていて、やはり「コロナ」である。
晴雨兼用の傘をさして、ネット裏スタンドからの取材となる。
「3人目のメジャーリーガー、見に来ましたよ」
グラウンドに現れた佐々木監督に声をかけた。
「いやいや、まだお相撲さんですよ」
両手で大きなお腹を作って、おどけて見せる。
佐々木監督には、「流しのブルペンキャッチャー」の取材で、だいぶ前からお世話になりっぱなしだ。
菊池雄星、大谷翔平……偉大なメジャーリーガーに台頭した2人の選手の高校時代。花巻東のブルペンで、その見えないほど速い快速球を受けさせていただいた。
話をしていても、とても勉強になる。お話の上手な監督さんは多いが、佐々木監督は「訊いてくる監督さん」だ。自然と会話が弾み、話がいい感じに横道に逸れ、だから余計に勉強になる。だから、用もないのに、「散歩してたら前を通りかかったので……」とか言いながら、フラッとおじゃますることも何度かあった。
身のこなしは“おかわり君”か
さて、その長男・麟太郎選手だ。