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《NBAファイナル》MVPヤニス・アデトクンボが証明したもの「自分の夢を信じてほしい」“グレートネス”を見せつけた2つのプレーとは? 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2021/07/23 11:03

《NBAファイナル》MVPヤニス・アデトクンボが証明したもの「自分の夢を信じてほしい」“グレートネス”を見せつけた2つのプレーとは?<Number Web> photograph by AP/FLO

ミルウォーキー・バックスを50年ぶりの優勝に導いたヤニス・アデトクンボ。“ギリシャの怪物”は外国人選手として4人目となるファイナルMVPに選出された

 続く第6戦は、ヤニスにとって、それまでやってきたことの集大成のような試合だった。チームメイトたちのシュートは思うように決まっていなかったが、ヤニスはやるべきプレーに集中し、次々とシュートを決めた。いつも心がけているように速攻やドライブインでゴールに向かって攻め続け、得点を重ねた。苦手だったフリースローも19本中17本を決めて合計50得点。ディフェンスでも5ブロックの活躍で、チームを勝利に、そして優勝に導いた。

 試合終了のブザーが鳴り響くと、ヤニスは笑顔を振りまき、仲間や家族と抱き合い、そして、その後感極まってひとりで座り込んで涙を流した。

「世界中の人たち、世界中の子どもたちに、自分の夢を信じることを伝えることができたのではないかと思っている。自分の夢を信じ、努力し続けてほしい。自分が何になれて、何になれないかをほかの人に決めさせてはだめだ。僕も、みんなからフリースローを決められないと言われてきた。でもきょうはフリースローを決めることができた。そしてチャンピオンになった」

 7月6日にNBAファイナルが始まったとき、これは26歳のスーパースター、ヤニスをNBAファイナルという舞台に迎え入れるシリーズになるのだと思っていた。しかし、14日間の戦いが終わってみたら、むしろ世界中のファンがヤニスの世界に招き入れられていた。

 毎日、プレッシャーがかかったなかでも笑顔で目の前にある時間を楽しみ、過去や自分のエゴにとらわれることなく、謙虚に、それでいて自分の直感を信じ、仲間との信頼を大切にする、そんなヤニスの世界に──。

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