《NBAファイナル》MVPヤニス・アデトクンボが証明したもの「自分の夢を信じてほしい」“グレートネス”を見せつけた2つのプレーとは？

「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ……」

　NBAファイナル、ミルウォーキー・バックス対フェニックス・サンズ第1戦。ヤニス・アデトクンボ（バックス）がフリースローラインに立ちボールを手にすると、待っていましたとばかりにサンズ・ファンの大合唱が始まった。

　フリースローが苦手なヤニスは、毎回時間をかけて同じルーティンをしてから打つ。しかし、それが10秒以内というルールすれすれのタイミングなので、対戦相手チームのファンの恰好の標的にされていた。この日も、サンズ・ファンの大合唱に邪魔されるかのように、ヤニスのフリースローは的からずれ、12本中5本を外した。

　次の第2戦でも18本中7本を外し、そしてバックスはファイナルを2連敗でスタートした。ヤニスのフリースローだけが敗因ではなかったが、全選手が初めてのNBAファイナル出場で、思うようにプレーできないバックスを象徴するようなシーンだった。

サンズ・ファンの大合唱の中、フリースローを放つヤニス・アデトクンボ　©Getty Images

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「楽しむことが力になるんだ」

　しかしヤニスは、フリースローのミスにも、そして2連敗のスタートにも動じていなかった。むしろそのチャレンジを受け入れ、楽しもうとしていた。

「2万人が『ワン、ツー、スリー、フォー……』と叫んでいるのだから、もちろん聞こえてくる。でも、そういったことも受け入れることを学ばなくてはいけない」とヤニス。

　初めて出る大舞台、NBAファイナルの目に見えないプレッシャーに対しても、同じ姿勢で乗り越えようとしていた。シリーズ最初の2試合に敗れたときも、追い込まれた緊迫感はなく、ニコニコとリラックスしていた。

「ファイナルだということはわかっている。明日の試合（第3戦）がどんな意味を持っているかもわかっている。『ファイナルだ』『これをやらなくては』と多くのプレッシャーがかかる。でも、僕にとっては楽しむことが力になるんだ」

　それに、NBAファイナルの舞台でコートに立ち、戦うことができること自体が奇跡のようでもあった。

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