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日本人は本当に練習しすぎ? 「トレーニングを90分で収める」スペインと「練習は裏切らない」日本の大きすぎる差
text by
佐伯夕利子Yuriko Saeki
photograph byGetty Images
posted2021/06/26 11:02
練習時間が減ると、競技力が衰退するという懸念について、スペインと日本の練習の在り方を比較しながら考える(写真はイメージです)
小学生で活動は週に3日、夏休みのオフは2カ月
そんな彼らが、小学1年生から高校3年生までの12年間で練習と試合に費やす活動時間の合計を算出すると、3124時間でした。年代によりますが、小学生で活動は週に3日。夏休みのオフは2カ月あります。
スペインにも大学受験はあり、子どもたちはそれなりに学業でのストレスを抱えています。しかし、彼らに「試験期間中は練習を休んでもいいよ」とでも言おうものなら、私たちが怒られてしまいます。
「僕らの唯一の気分転換であるフットボールまで奪わないでくれ!」と言われるに決まっています。嫌々やっている子どもはいません。フットボールが楽しくてたまらないのです。
プロにはあるのに育成年代にはない「オフ」
選手ひとりあたりのコーチの絶対数が定められ、毎週末は必ず試合に出場できるシステムが用意されています。小学生の1回の練習時間は75分。ダラダラと何時間もトレーニングさせることはなく、冬と夏はしっかり完全休養を与える文化があります。プロであるトップチームの選手にオフがあるのに、育成年代だけオフがない日本のほうが不思議に見えてしまいます。
組織として一貫した育成過程を提供し、適度な練習量、良質な練習内容、すべての子どもに継続的に試合の出場機会を与える競技システムの構築。なおかつ、意味ある学びを習得できる。こうした環境づくりこそがスポーツの競技力を左右する。つまるところ、練習を何時間行うかではなく、「学習効果を高めるためのスポーツ環境づくり」が何よりも重要なファクターだといえます。
この要因を見ずに、練習は裏切らないとばかりに長時間練習を強いてしまう様子は、大人によってスポーツが支配されているように見えてしまいます。指導者自身もこのことに気づかないのかもしれません。