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「フィールドでは神のよう」大谷翔平はこんなに凄いのに、なぜエンゼルスは“最下位争い”をしているのか?
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2021/05/31 17:01
15本塁打、38打点と大谷は打撃部門で上位につけるが、エンゼルスはア・リーグ西地区で最下位争い
エンゼルスはキャンプイン前からバンディ、ヒーニー、コッブ、キンタナ、キャニング、大谷の先発6人制を唱えていた。その方針の下、指揮官はローテーションについてこう言っていた。
「今年は『サンデーショーヘイ』のように特定日に登板させるようなことはしない。先発は6人ローテーションで定期的に登板させていく」
勝利のために「投手優先」から「打者優先」に
開幕後、監督の言葉通りには必ずしもなっていない。大谷は初登板となった4月4日のホワイトソックス戦から中15日で2戦目のレンジャーズ戦に臨んだ(3月29日のドジャース戦でマメが潰れた影響を受けて)。このこと自体は仕方ないが、この間の大谷の打棒爆発が徐々にプランを狂わしていくことにもなった。
10試合すべてに打者として出場し、39打数13安打2本塁打9打点、打率・333。その貢献度と打線の中核としての存在感は、誰の目から見ても主砲トラウトと双璧だった。そして5月上旬に指揮官は言った。
「当初はショウヘイが登板前後、登板当日とこれほどまでに出場できるとは思っていなかった。もっと休ませなければいけないと思っていた」
大谷が毎試合打者としての出場を希望したこともあったが、計算が立たない自軍の投手力では打力でカバーするしかない。勝利のために大谷の起用法の基本が「投手優先」から「打者優先」にチーム事情で変わってしまったのだ。
得点力を確立するために毎試合大谷をラインナップに入れれば、どうしても登板間隔は空きがちになる。ここまでの間隔は中5日が2度、中7日が1度、中8日が2度。
チームの勝利を優先させるためには大谷の起用法は一体何が最善なのか。
大谷がいい投球をしても…“三刀流起用”が増える理由
6人ローテーションで定期的に回していけば、常に中5日、もしくは6日となる。休みなく毎試合打者として出場を続けるのは体に大きな負担がかかる。
その一方で、現状のように打者出場を優先し、投手の間隔は空けて挑めば、トータルで大谷の出場試合数は増える。しかし、登板機会は減る。どちらの判断を下すかはマネージャーの領域、責任となる。
投手大谷の力量を考えれば、シーズン前のプラン通りに「投手優先」がいいという意見もあるだろう。それには知っておいて欲しいデータもある。