酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
阪神・佐藤輝明の学習能力は“1週間ごとの記録”で見ると明らか… 荒っぽさを打ち消すデータとは【週刊セパ記録】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2021/05/11 06:01
“モノノフ”でもある阪神の佐藤輝明。本塁打後の「Zポーズ」もおなじみになってきた
<佐藤輝明の週間での打撃成績>
1週目・11打2安1本3点 1四球 5三振 率.182
2週目・20打2安1本1点 0四球 11三振 率.100
3週目・25打7安1本1点 0四球 8三振 率.280
4週目・14打4安2本5点 1四球 6三振 率.286
5週目・20打7安0本5点 2四球 10三振 率.350
6週目・16打4安2本4点 3四球 3三振 率.250
7週目・17打6安2本4点 3四球 4三振 率.353
開幕戦から3週連続で本塁打。期待に違わずいいところを見せていたが、三振がとにかく多かった。3週目まででは57打席で24三振とかなりの割合で、四球はわずか1つ。この頃までの佐藤は「バットに当たればホームラン」だが、「当たらなければ三振」という打者だった。
まるで来日したての外国人打者のような荒っぽさ。投手は「ボール球を投げておけば大丈夫」という感覚だったろう。
6週目から明らかに四球が増えている
しかし佐藤の打撃は6週目に劇的に変わる。打率は.250だが四球を3つ選び三振は3つだけ。じっくりと投球を見極めるようになったのだ。
さらに佐藤は本塁打だけでなく二塁打も増えている。3週目までは1本だけだったが、4週目以降は4本。これに伴って打点も増えてきている。
そして7週目は3四球を選ぶとともに2本塁打4打点。4三振。
佐藤はペナントレースに出続けながら、NPBの野球、特に投手について急速に勉強している印象だ。
従来のなんでも振りにいく荒っぽい打者から、配球を読み、好球必打を心がける強打者に変化しつつあるのだ。
ある打撃コーチが指摘した“柔軟さ”の大切さ
ある打撃コーチは「いい選手は、こうした方がいい、とアドバイスするとすぐに取り入れて変えることができる。センスがいいとはそういうことだ」と言ったが、佐藤輝明はそういう柔軟さ、クレバーさを持っているのだろう。
「男子、三日会わざれば刮目して見よ」という言葉があるが、相手投手は開幕当時の印象のままで佐藤と対戦すると、大やけどを負うかもしれない。