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「真ん中周辺をめがけて」シンプルに 菊池雄星が今季初登板で披露した3年目の新境地とは

posted2021/04/10 11:00

 
「真ん中周辺をめがけて」シンプルに 菊池雄星が今季初登板で披露した3年目の新境地とは<Number Web> photograph by Getty Images

2019年から若手主体のチーム改革を進めてきたマリナーズ。サービス監督は他の選手同様、菊池雄星にも「学習するプロセス」という言葉をかけてきた。菊池は今季、その成果を出せるか

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 白星が付かず、結果的にチームが敗れた悔しさは残った。だが、2021年の初登板を終えたマリナーズ菊池雄星の表情は、心なしかスッキリとしていた。

 4月2日の開幕2戦目。ジャイアンツ戦に先発した菊池は、6回3失点と踏ん張りつつも、同点の状況でマウンドを譲った。いずれもリードを追い付かれる2本塁打で失点したこともあり、表面的な数字だけを見れば、絶好のスタートを切ったとは言い切れない。その一方で、試合後は、気持ちの整理を終えていた。予定内の89球でスタートした初陣を、自らに言い聞かせるかのように、丁寧な言葉で振り返った。

「やはり2発は悔いが残ります。ただ、オフシーズンに取り組んできたことが出せたマウンドだったと思います。ストライク先行で行けましたし、投球内容自体はすごく充実感があります」

 負け惜しみでもなければ、強がりでもない。痛打された経過を「しっかり腕を振った結果」と分析し、真っすぐに受け入れる姿勢こそ、メジャー3年目を迎えた菊池の新境地だった。

2年続いた不本意な投球の理由

 過去2年間で、通算8勝15敗、防御率5.39。19年、新生マリナーズの主軸として期待されて入団した菊池にすれば、不本意なシーズンが続いた。力勝負を挑む理想型を求め、昨季は全球種での球速アップに取り組んだ。その結果、最速98マイル(約158キロ)と西武時代と同レベルの球威を取り戻した。だが、球速だけで抑えられる世界ではないことも、あらためて痛感した。細かい制球を意識するあまり、カウントを不利にし、大事な局面で決定打を浴びてしまう悪循環は、技術面だけでは解消できなかった。たどり着いた結論は、実にシンプルだった。

「あまり厳しいコースとかを考えず、真ん中周辺に目がけて行って、多少散るのはしょうがないと思っていきました」

 その結果、今季初登板では、打者25人に対して初球ストライクが19(約76%=過去約57%)、全89球中ストライク67(約75%=同約64%)と、劇的に良化した。最速156kmの速球に124kmのカーブと、最大32kmのスピード差を使い分け、自己最多タイの10奪三振。緩急に目を向けた投球こそ、菊池の引き出しが増えた一端だった。

「今シーズンの自分の形、こういう形で行くんだ、というのを見せられたと思います」

【次ページ】 見えてきたメジャーでの理想形

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#シアトル・マリナーズ

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