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「真ん中周辺をめがけて」シンプルに 菊池雄星が今季初登板で披露した3年目の新境地とは 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2021/04/10 11:00

「真ん中周辺をめがけて」シンプルに 菊池雄星が今季初登板で披露した3年目の新境地とは<Number Web> photograph by Getty Images

2019年から若手主体のチーム改革を進めてきたマリナーズ。サービス監督は他の選手同様、菊池雄星にも「学習するプロセス」という言葉をかけてきた。菊池は今季、その成果を出せるか

 結果的に逆転負けを喫したとはいえ、試合後のスコット・サービス監督は、菊池のメンタル面の進化と力強いパフォーマンスを、殊勲のヒーローを称えるかのような賛辞の言葉で評した。

「我々がここで見たものは、圧倒的な投球だった。とてもハッピーであり、今季はこのような登板がもっと多く見られることを楽しみにしている。いいスタートが切れたことは、彼にとって大きな自信になるだろう」

見えてきたメジャーでの理想形

 入団以来、菊池の高いポテンシャルと真摯(しんし)な姿勢を認めてきただけに、過去2シーズンは、目先の結果に関わらず、近い将来を見据えて長い目で見守ってきた。図らずも、同日の試合前、「ホームランを打たれることはある。ただ、アグレッシブにストライクゾーンを攻めて欲しい」と話していた通りの投球内容に、大きくうなずくばかりだった。

 菊池自身、入団当時からマリナーズの中長期的再建計画を認識し、結果に一喜一憂することなく、着実に前へ進むことを意識してきた。

「まだまだ改善点はありますが、逆に自分自身も楽しみにして、次の機会に臨みたいと思います」

 真っ向勝負をする満足感よりも、結果を残す責任感――。

 コツコツと修正を重ねた結果は、春に開花して、秋には実を結ぶ。

 開幕登板を終えた菊池には、そんな匂いが漂っていた。

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