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【MotoGP開幕】絶対王者マルケスの不在で混戦必至 ホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ…全チームに勝機十分の開幕戦プレビュー 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2021/03/26 17:02

【MotoGP開幕】絶対王者マルケスの不在で混戦必至 ホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ…全チームに勝機十分の開幕戦プレビュー<Number Web> photograph by Satoshi Endo

今季ホンダに加入したポル・エスパルガロ。負傷から回復途上のマルケスに代わってエース級の活躍に期待がかかる

 そして、ヤマハの注目ライダーにはもうひとり、今年も現役続行を表明したバレンティーノ・ロッシがいる。今年はワークスチームからサテライトチームへ移籍。開幕前のテストではヤマハ勢のしんがり、総合でも11番手だったが、ロサイルサーキットで自己ベストタイムを更新して気を吐いた。「1年1年が勝負」と語るロッシはWGPにデビューして26年目、王座を7回獲得した最高峰クラスで22年目のシーズンとなる。42歳にして依然としてトップライダーの一角に君臨し、人気ナンバーワンのロッシの戦いにも注目が集まる。

テスト首位はドゥカティ

 テストで総合首位を獲得したのはドゥカティのジャック・ミラーだ。ドゥカティは昨年、シーズン2勝を挙げてコンストラクターズタイトルを獲得したが、チャンピオン争いには加われなかった。その要因はサーキットによって成績が大きく左右されたことにある。今年はその対策に多くの時間を割き、ジュニアチームであるプラマックの若手二人をワークスチームに昇格させ、体制を入れ替えた。ミラーの好走にはその効果もあるのだろう。ベストタイムだけではなく、アベレージでもライバルを圧倒する速さで、今年の活躍が期待される。

 ドゥカティは、これまでも積極的にエアロパーツや車体関係で斬新なアイディアを投入し、ライバルメーカーを驚かせつつモトGPマシンの流行を生み出してきた。日本のメーカーが得意とする正攻法とは対照的で失敗も多いが、魅力あるバイクであることはまちがいない。テストでのミラーの首位獲得もあって、今年は07年のケーシー・ストーナー以来のタイトル獲得に期待が集まる。

 そして昨年、20年ぶりにタイトルを獲得したスズキが、今年はどんな戦いを見せるのだろうか。今年もMotoGP2年目にしてチャンピオンを獲得したジョアン・ミルと、昨年怪我に泣くも総合3位まで追い上げたアレックス・リンスの2人体制で挑む。日本のメーカーの中では、もっとも正攻法のマシン作りをするが、この数年は「名作」と呼ばれる車体とエンジンパワーの改善が、好成績を支える大きな要因となっている。

 昨年はスズキ創業100周年という節目のシーズンで見事にタイトルを獲得した。5日間のテストでは二人ともにトップ10入りしたが、ヤマハ、ドゥカティに比べると、それほど目立つ走りではなかった。しかし、ニューエンジンのテストをするなど、今季を見据えてのテストにも多くの時間を割き、開幕戦に向けて準備が整っていることを感じさせた。

 その他、昨年シーズン2勝を挙げて大きな躍進を見せたKTMに、ウインターテストで大きなポテンシャルを感じさせたアプリリアなど話題は多い。どのメーカーにも見どころがあり、コロナ禍もあって今年も6メーカーの熾烈な戦いになることが予想される。

 カータールGPの決勝は3月28日。まずは開幕2連戦のワークス勢の戦いに注目したい。

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