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【MotoGP開幕】絶対王者マルケスの不在で混戦必至 ホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ…全チームに勝機十分の開幕戦プレビュー 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2021/03/26 17:02

【MotoGP開幕】絶対王者マルケスの不在で混戦必至 ホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ…全チームに勝機十分の開幕戦プレビュー<Number Web> photograph by Satoshi Endo

今季ホンダに加入したポル・エスパルガロ。負傷から回復途上のマルケスに代わってエース級の活躍に期待がかかる

 これまでの中上は1年落ちのワークスマシンで戦い続け、エンジンパワーではさすがに苦しいレースもあったが、その反面、データが十分にあることでセットアップに迷うことはなかった。今年はハンディキャップなしのシーズン。そのメリットをどこまで生かせるのか。中上は今季の抱負をこう語った。

「やっと同じ条件で走れる。これは自分が望んできたことだし、見合った結果を残さなくてはいけない。今年は、これまでの初表彰台初優勝を狙うという目標から、常に表彰台争い、優勝を目指すことが目標になる。それができるバイクだし、そうしなくちゃいけない」

最強軍団と呼ぶにふさわしいヤマハ勢の仕上がり

 他メーカーはどうか。開幕前に行われたテストではヤマハが大幅にパフォーマンスを上げてきた。コロナ禍の影響で今年のMotoGPクラスはエンジン開発が禁止となり、どのメーカーも20年型のエンジン(優遇措置のアプリリアをのぞく)でシーズンを戦わなければならない。改良できるポイントは車体と空力関係だけになるが、その中でも昨年14戦中7勝を挙げたヤマハ勢の3人はまずまずの仕上がりを見せた。

 5日間のテストでヤマハ勢トップ、総合2番手につけたマーベリック・ビニャーレスは、ロングランを中心にセットアップを進め、アベレージの高い走りを見せた。ビニャーレスはこれまでもアベレージの高い走りをしており、これでどうして優勝回数が少ないのかといわれてきた。その要因はスタートの失敗、もしくは序盤にペースをあげられないこと。そこで今年は誰よりも多くスタート練習に取り組んだ。その成果が本番でどう生かされるのか興味深い。

 総合3番手には、ペトロナス・ヤマハからヤマハ・ファクトリー・レーシングに移籍したファビオ・クアルタラロが続いた。クアルタラロは昨年、シーズンが再開したスペイン・ヘレスの2連戦で2連勝と素晴らしいスタートを切った。「このままいけばチャンピオン獲得」と言われたが、以後はノーポイントのレースも多い浮き沈みの激しいシーズンとなり、シーズン3勝をあげるも総合8位に終わった。クアルタラロはコースの得意不得意によってパフォーマンスに差があるが、ワークスチームに入ったことで、そのあたりを克服すれば今年こそチャンピオンへの道が開けるだろう。

 そして総合4番手には、昨シーズン総合2位とヤマハ勢トップの成績を残したフランコ・モルビデリが続く。Moto2ではタイトルを獲得するも、当時から地味な存在。しかし、着実に前進していくタイプで、昨年は徹底的に走り込んだ成果でシーズン3勝を挙げた。

 ウィークポイントを着実に修正していくヤマハ得意の手法が今年はどう生かされるのか。カタールテストでは去年の反省点をしっかりと修正していることが窺え、結果として3選手が上位につけた。今季の最強軍団であることは間違いない。

【次ページ】 テスト首位はドゥカティ

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