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ベッカム&ギグスら“奇跡の6人”からスパイク泥棒まで… マンU生え抜きに見る重圧に打ち克つ「人生訓」とは
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/03/16 17:00
ユース出身選手としてクラブを牽引するマーカス・ラッシュフォード(右)とスコット・マクトミネイ(左)。前者は10番を纏い、後者は次期キャプテン候補に名が挙がるまで成長を遂げた
天賦の才能を信じ、すべての情熱を仕事(フットボール)に注いでいれば、モリソンもスーパースターの地位を手に入れていたかもしれない。
ヤヌザイは「つくづく監督に恵まれなかった」と、ルイス・ファンハールやジョゼ・モウリーニョを批判したが、誰よりも努力したと言えるのだろうか。
繰り返すが、ファギーズ・フレッジリングスのようなケースは二度とないだろう。下部組織出身者が6人もトップチームで重要なポジションを占めた事実は、奇跡と表現しても大袈裟ではないだろう。
成功のカギは「強い気持ち」
ただ、コロナ禍でクラブの経済が消耗しきっている実情を踏まえると、投資よりも育成を重視しなければならない。ユナイテッドのようなメガクラブであっても、だ。
心あるサポーターも、子供の頃から知る選手の成長に「あのガキ、うまくなりやがったもんだ」と涙を流して喜ぶ。
「認められたいのなら、いつでもどこでも自分の価値を証明しなくてはならない。わずか1回の好プレーで有頂天になったり、小さなミスを引きずっていたりすると負ける。強い気持ちが絶対に必要だ」
5歳で下部組織に加入したマクトミネイは、ユナイテッドのなんたるかを理解している。次期キャプテンの有力候補だけのことはある。一方、モリソンやヤヌザイは、強い気持ちを維持できなかった。
ユナイテッドに限らず、リバプールやバイエルン・ミュンヘン、バルセロナとレアル・マドリー、ユベントスなど、世界ブランドのクラブでプレーする以上は、年齢に関係なく重大な覚悟が必要だ。まだ若かったから……は、言い訳にならない。