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「奇跡のレスター」から5年の“栄光と転落” 得点王バーディー、飲酒運転ドリンクウォーター、岡崎とスペインで再会したのは…
posted2021/03/14 11:04
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
Getty Images/Daisuke Nakashima
それは紛れもない”おとぎ話”だった。
15-16シーズンにクラブ史上初めてプレミアリーグのタイトルを獲得したレスター・シティ。メガクラブに選手層も資金力も劣るイングランドのスモールクラブが見せた奇跡のような大躍進に、世界中のフットボールファンが沸いたのは5シーズン前のことだ。
奇跡が起こる1年前に岡崎慎司が移籍したとあって、この物語を序章から見届けた日本人ファンも多くいることだろう。
どれだけ凄いことなのか。その尺度として聞き慣れた、イギリスのブックメーカーがレスター優勝につけた「5001倍」という数字は有名だ。
昇格1年目で命からがら残留を果たし、2年目でリーグ制覇。今季で例えるならば、アストンビラがプレミアのタイトルを獲るようなものだ。シーズン序盤に王者リバプールを7-2で破り、一時は首位に立った時でさえ、ジャック・グリーリッシュがトロフィーを掲げる未来を想像した者がいただろうか。
タイトルを知るのはバーディー、シュマイケルら6人
プレミアリーグ史に残る奇跡の優勝から4年半、レスターは大きく様変わりした。ハービー・バーンズらアカデミー出身の選手、ジェームズ・マディソンら他クラブから来た有望選手などの台頭でチームは一気に若返り、選手層も厚みが増している。
タイトルを知るメンバーはわずか6人になった。カスパー・シュマイケル、ダニエル・アマーティ、クリスティアン・フクス、ウェズ・モーガン、マルク・オルブライトン、そしてジェイミー・バーディーだ。
優勝の5年前まで7部相当のリーグでプレーしていたバーディーのキャリアは、遅咲きの苦労人として当時有名になった。しかし”シンデレラストーリー”には続きがあり、イングランド代表としてEURO 2016や2018W杯ロシア大会に出場。そして昨季はプレミアリーグ史上最年長となる33歳で、自身初の得点王に輝いた。
今でもエースの座に君臨するバーディーはもちろん、ここまでリーグ戦全試合でゴールマウスを守るシュマイケル、サイドで攻撃に変化を加えるオルブライトンは現在もチームに不可欠だ。
アマーティ以外の5人は全員30歳を超えるベテランとなったが、あの優勝で得た経験を次代に引き継いでいく者として絶大な存在感を放っている。
ちなみに右サイドバックのレギュラーだったダニー・シンプソンも今冬レスターに戻ってきた。現在はU-23チームでプレーしているが、ブレンダン・ロジャース監督は「彼の経験は若い選手にとって大きな助けになる」と若手の成長への貢献に期待を寄せている。
15-16シーズンの優勝でメガクラブの注目を集め、栄転をした選手もいる。