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伝説の10.8決戦(巨人対中日)で廃駅に? 名古屋の“消えた野球駅”「ナゴヤ球場正門前駅」、今は何がある?
posted2021/03/03 17:03
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph by
KYODO
野球ファンならば、電車に乗っていて車窓から野球場が見えるとなぜだかテンションがあがってしまうのではなかろうか。それがマツダスタジアムのようなプロ野球の本拠地球場ならばもちろんのこと、小さな草野球場であっても、「お、野球やってる?」なんてついつい身を乗り出してしまうものだ――。
そんなわけで、今回は東海道新幹線に乗って名古屋に向かう。名古屋駅に到着する直前、新幹線の車窓からちっぽけな野球場が見えるのだ。この野球場、ちっぽけと書いたが単なる草野球場などではもちろんなくて、かつては中日ドラゴンズの本拠地だったナゴヤ球場である。現在でもドラゴンズの二軍本拠地としてはバリバリ現役なのだが、本体のドラゴンズが1997年からナゴヤドームに本拠地を移してしまったので、一軍の公式戦が行われることはもうなくなった。スタンドやらグラウンドやらも改修されてしまって、すっかりかつての面影を失っている。
消えた「ナゴヤ球場正門前駅」、今は何がある?
そしてここからが本題である。ナゴヤ球場は新幹線に乗って見る限りは名古屋駅のすぐ近くのように思える。が、実際には名古屋駅から歩いていけるような距離ではなく、名古屋駅から電車を乗り継いで行かなければならない。今ならば、東海道線の尾頭橋という駅が最寄りである。ところが、ナゴヤ球場全盛期には「ナゴヤ球場正門前」と名乗る駅が尾頭橋駅よりも球場の近くにあったという。それも、ナゴヤ球場で試合が行われるときだけ開業する臨時駅だ。もう四半世紀も前に姿を消したナゴヤ球場正門前駅は、いったいどんな駅だったのだろうか。その跡地を訪れてみることにした。
ナゴヤ球場正門前駅の跡地には、もちろん尾頭橋駅がいちばん近い。名古屋駅からは東海道線の各駅停車に乗ってひと駅、約5分で到着する。ホームのすぐ向こう側には並行して名鉄の線路も走っている築堤の上の駅で、階段を降りて小さな改札口をくぐる。改札口をくぐると、正面にナゴヤ球場とウインズ名古屋の方向を示す案内板が建っていた。