炎の一筆入魂BACK NUMBER
「ビジネス書を読破してキャンプイン」カープ新加入のクロンって? 鈴木誠也をひたすら観察して…
posted2021/03/03 17:02
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
KYODO
「この本のように1日1日、自分がどのような人になりたいか、どのような選手になりたいかを考えて、ここで成功するためにやっている」
日本球界初挑戦となる新外国人選手でただ1人、春季キャンプに参加した広島ケビン・クロンが、来日後の隔離期間中に線を引きメモをしながら、ある本を読破したと話してくれた。
実例や研究結果に基づき「小さな習慣」を身に付けるための技術や効果などをまとめた『複利で伸びる1つの習慣』というビジネス本で、同著曰く《習慣とは自己改善を複利で積み上げたもの》だという。クロンが広島キャンプに取り組む姿勢にも重なる部分が多くあるように感じられた。
食い入るように見たのは、主砲・鈴木誠也
もちろん、彼の野球に対する姿勢は同著の影響によるものだけではない。習慣の変化を受け入れられているのは、クロンの持つ自制心と謙虚な人柄ゆえだろう。日本人選手の練習態度に触発され、1球1球を無駄にしない。日本の指導者の意見を素直に聞き入れる。
「目的地のようなゴールを設定するのではなく、自分がどうなりたいか。そうなるためのプロセスを大事にしている。それが自然とゴールにつながるだけ。3割を打つことを目指すのではなく、3割を打った人は何をしているのかを考える。これまでやってきたルーティンに、それを足してやっている。
野球以外においても同じ。たとえば食事。自分が痩せたい、いい体を保ちたいと思えば、痩せている人は何をしているのかを考えればいい。ただ、それだけのことです」
クロンにとってその“真似るべき対象”は、広島の主砲、鈴木誠也だった。春季キャンプ初日から打撃を食い入るように見ていたが、ときには3つある打撃ケージを順番に打つ背番号1を追うように、その都度クロンも移動して真後ろで見つめるほど熱心だった。
来日前から「Seiya Suzuki」の名は知っていたというが、同じ右打者として共通点は多い。首脳陣も相乗効果に期待して、数人1組での練習メニューではほぼ2人を同組に設定した。