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高3で新人王に→センター試験まで2カ月半で勉強開始→大阪大合格… 父が知る糸谷哲郎八段の“受験勉強術”とは
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byYasuhiro Itodani
posted2021/02/06 06:02
幼少期、羽生善治九段と写真に収まる糸谷哲郎八段(右端)
――ただ、棋士として活動するのは大阪じゃなくて、東京でもいいわけだよね。東京の大学を受験して、合格したら東京で生活し、日本将棋連盟を拠点として棋士として活動しながら大学に通う、という選択肢もあったと思うんだけど……。
「鎌倉には、妻の実家がある。関西には親類がいないから、東京がいいかなと思っていた。でも、本人が『関西の日本将棋連盟には義理がある』と言って、関西を拠点とする棋士生活を選択した。それで、関西の大学を志望したんだ」
休日には1日14時間くらい勉強していた
――なるほど。義理堅いんだね。糸谷八段は大阪大学を受験した理由として、「関西の日本将棋連盟に近いから」と言っていた。そんな単純な理由で大学を選んで入れるのだったら、誰も苦労しないんだけど(笑)。ただ、高校2年から3年にかけてはプロ棋士になれるかどうか、そして新人王戦で優勝できるかどうかという時期で、大学受験の準備をする時間は非常に限られていた。受験勉強は、どういう風にしたの?
「新人王戦が終わり、ようやく受験勉強に専念できるようになった。でも、それから大学入試センター試験までわずか2カ月半。休日には1日14時間くらい勉強していた。主として僕が数学と英語を、妻が国語と社会を手伝った」
――将棋をやったことが受験勉強に役立った点はあったのかな?
「元々、記憶力が飛び抜けていたけれど、イメージ力の増強でさらに記憶力が伸びたと思う。また、人間はずっと集中することはできないと思うんだけど、考えながら効率的に休憩する技術を身につけたらしく、長時間勉強しても、集中力が落ちない。これには、驚いた。また、将棋では最後の最後までとことん考える。その粘り強さが、試験でも生きたんじゃないのかな」
学業とプロ棋士としての両立法は?
――なるほど。元々頭が良かった人が、将棋でさらに記憶力と思考力を磨き、粘り強さも身に付けたというわけか。勉強時間が普通の人間よりずっと少なくても、大学受験なんて簡単にクリアできてしまうんだな。大学では、学業とプロ棋士としての仕事はどのように両立したのだろう? また、大学院まで行ったのはなぜ?