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高3で新人王に→センター試験まで2カ月半で勉強開始→大阪大合格… 父が知る糸谷哲郎八段の“受験勉強術”とは
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byYasuhiro Itodani
posted2021/02/06 06:02
幼少期、羽生善治九段と写真に収まる糸谷哲郎八段(右端)
多忙で修士論文を「もう詰んだ」と諦めかけたが
「大学では、授業は対局が多い平日には少なめにして、対局がない土曜日に多く入れ、対局でどうしても授業に出られない場合は教授に説明に行って調整したりして、両立させたようだ。
大学院へ行ったのは、さらに学業を深めるため。それは、本人にとっても親にとってもごく自然な流れだった。でも、院に入った頃から将棋の方がとても忙しくなり、休学したりして結局6年かかった。
修士論文も、対局で忙しくて準備する時間が取れず、『もう詰んだ』と言って諦めかけていた。でも、たまたま対局の日程に余裕が生まれ、指導教授から『まだ間に合う』と励まされて、1カ月で仕上げたそうだ」
「時々、電話を掛けながら原稿を書く」
――いやあ、糸谷八段は幼い頃からこれまで、気の遠くなるようなことをやってきたんだね。凡人には計り知れないところもあるけど、すごいということだけは良くわかった(笑)。近年は、棋士としての対局や鍛錬以外にも将棋の普及に多くの時間とエネルギーを費やしている。
「少し忙しすぎるんじゃないかな。『時々、電話をかけながら原稿を書く』なんて話していたことがある」
――そんなことが可能なのか(笑)。
「たまに、『ちょっと疲れた』と漏らすこともある。月並みだけど、健康には気を付けてほしい」
――「自分には炊事能力と清掃能力が不足している」と言っている。
「ああ、そこは僕に似たんだ(笑)」
――「理想の女性は、野望がある人」だとか。
「親からみても、ちょっと理想が高すぎるんじゃないか、条件が厳しすぎるんじゃないかと思うなあ。本人は結婚願望があまりないらしく、『見合いの話は持ってこないでくれ』というオーラを発散している(笑)」