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なぜ田澤純一は“下位指名”すらされなかった? 日ハムスカウトの証言「新人選択会議という名称ですから…」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byJIJI PRESS

posted2021/01/29 17:03

なぜ田澤純一は“下位指名”すらされなかった? 日ハムスカウトの証言「新人選択会議という名称ですから…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

昨季のBCリーグで登板する田澤純一。ドラフト会議では指名されず、台湾球界入りする

「新人選択会議という名称ですから、これからの将来の選手を獲得するのが基本であって、そこに(田澤選手は)そもそも合致していない。下位指名ではどうかという意見もあれば、元メジャーリーガーをそうやって評価するのはどうなのかというのもあるし、対象となるものを掛け違えている印象です。NPBは田澤ルールの撤廃をしましたが、解除することが目的であって、田澤選手の活躍の場を作ってあげるためのケアではなかったということです。優れた人材を流動的かつ効率的にNPBにこられるような環境を作り直すという意味で、独立リーグもドラフトにかけるべきではないという議論がありますけど、時代は変わってきているわけですから、もう1回練り直してNPBの人材が効率的に動くために、やりようがあると思います」

田澤とチェンの“違い”

 今季、阪神と契約したチェン、昨季のスタートはマリナーズのマイナーだった。田澤と同じくメジャー昇格を目指したものの、新型コロナウイルスの影響もあって断念。その中で日本で移籍先を探してロッテに入団していた。

 彼の実力は、ロッテで4試合に登板したことで証明ができた。だから、オフに数球団による獲得合戦が起きたのだが、もし、田澤にも、ドラフトで指名しなければいけないというルールがなければ、チェンと同じような「顔見せ」からの本格的な獲得合戦が起きていたかもしれない。

 くしくも田澤とチェンはマーリンズ時代のチームメイトでもある。

 台湾のチェンが日本で高額の契約を勝ち取り、田澤は日本球界入りを断念、また海を渡る。

 田澤をまた見送ったままにしていいのだろうか。日本球界として仕組みづくりを変えていく時期に来ている。

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田澤純一
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