箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「相馬が泣き崩れた。それが申し訳なくて…」箱根駅伝を失った直後、筑波大生たちが泣きながら考えたこと
posted2020/12/22 11:06
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Hideki Sugiyama
運命の10月17日、天候は雨。予選会会場の立川には冷たい風が吹いていた。
スタートしてすぐ、筑波大はエース格の選手と中間層の選手で設定タイムを分け、3つほどの小さな塊となって立川駐屯地の周回コースを駆けた。
素晴らしい走りを見せたのは、猿橋と西の2人だ。日本人選手による先頭争いに食らいつき、終盤になってもペースは落ちない。ラスト数メートル、スーパールーキーとして注目を集める順大の三浦龍司にはわずかに後れをとったが、猿橋は日本人2位(ハーフ1時間1分43秒)、留学生を合わせても個人6位に入る堂々たる走りを見せた。西もまた、猿橋に3秒遅れただけの個人9位。上位10名に複数の選手が入ったのは筑波大だけである。
最後まで相馬に命運を背負わせたことが悔しくて
だが、大きなアドバンテージを得ながらも、筑波大の順位は思うように上がってこなかった。15km地点で上位10名の合計タイムは13位、18kmでもまだ13位のまま。だが、個人143位(チームでは5番目)でゴールした大土手は、仲間が終盤に差し掛かってペースを上げてくると信じていた。
結果発表。9位、拓殖大学。10位……。
祈らずにはいられなかった。「来い! 次こそオレたちの番だろ」と。
その想いが届かず、11位と聞いた時、大土手は手で顔を覆って泣いた。こんなことを考えていた。
「隣に相馬がいたんですけど、彼が泣き崩れたのを見て、本当に申し訳ないことをしたなって。結果的に(チーム12位の)相馬は自分のせいで行けなかったと思ったみたいですけど、誰もそんなことは思っていません。むしろ、最後まで相馬にチームの命運を背負わせてしまった。そのことが悔しくて、気づいたら泣いてました」