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Jリーガーの香水はドルチェ&ガッバーナ? 前田大然はシャネル、槙野は…【瑛人・紅白出場】
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/11/17 17:03

試合前、手首につけた香りで集中力を高める槙野
キックオフ前に大切にする自分の空間
槙野自身も香りをつけるのは、ルーティンのひとつ。自らがプロデュースする香水『Five Dimension(ファイブディメンション)』を手首に強く染み込ませている。
「普段から使う自分の好きな香水の匂いをかぐことで、一番気持ちいい状態になり、精神的にリラックスできます。開始直前、僕は必ず匂いをつけた手首に鼻をあててから、キックオフのホイッスルを聞いているでしょ? あれは自分の空間をつくっているんです」
試合前に香水を使うようになったのは、広島ユースからトップ昇格を果たし、しばらくしてから。先輩たちの見よう見まねで自然と習慣になった。若い頃は多くの種類を試し、自分に合うものを探した。他の選手たちも同じような道を通ることが多い。
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「最初はみんなハイブランドだったり、強い匂いの物を欲しがるんです。ときどき“匂い負け”している選手もいます。まあ、そんな失敗をしながら、自分の香りを見つけていくんだと思います」
大人びた香りをさせていた前田大然
槙野のその言葉を聞き、あるストライカーの顔が思い浮かんだ。2017年の秋。Shonan BMW スタジアム平塚の取材エリアで水戸ホーリーホックの選手を待っているときだった。キャップをかぶった若者が大人びた香りをぷんぷんと漂わせ、年季の入ったロッカールームからゆっくりと出てきた。ブレイク前夜の前田大然(現横浜F・マリノス)である。取材ノートには丸刈り頭の20歳とのやり取りを記している。
「いい匂いがしますけど、どこの香水ですか?」
「ディオールっす」
前田は当時から強烈な個性を放ち、“匂い負け”はしていなかったが、少し背伸びをしている印象を受けた。あれから3年。リモート取材で前田と話す機会があり、挨拶程度の雑談から昔話した匂いネタのことを覚えているか聞いてみた。