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皇治が批判覚悟で突き進む理由 武尊と再戦?「殴り返さないと気が済まんのですよ」
posted2020/11/06 11:02
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Yuki Suenaga
――団体の垣根を超えるという思いが湧いてきたのはいつぐらいですか?
K-1の所属選手としてRIZINの舞台でやりたいとずっと言っていました。そういう話を始めたのはもう3、4年前ぐらい。今、立ち技で盛り上がっているのはK-1とRIZIN。だからK-1対RIZINのカードはファンが一番見たいだろうと思うんです。それを実現するには選手が動くしかないんですよ。
――団体、組織の壁があると。
やっぱり大人の事情ってあるじゃないですか。そこにグチグチ文句を言っていても、しゃあない。自分たちが命を懸けて戦うわけなんで、自分らで動かないと。でもやっぱりルールはあるので、じゃ「ルールを守った上で俺がRIZINに行こう」と考えた。やり方を見せたので、あとは他の選手が覚悟を決めるか決めないかやと思う。
――「大人の事情」とは?
K-1とRIZINは目指すところが違う。K-1は「100年続くK-1を」みたいな、RIZINは「今を盛り上げたい」という団体。お互いが言っていることはすごくわかるし、それぞれにやり方があるのは理解できる。でも、俺らは今を生きたいし、選手生命は今しかない。将来の若い子たちに繋がることは嬉しいですけど、今の自分たちがもっと認知度あげて盛り上げられなかったら後輩まで続いていかないと思うんで。そのあたりの考えの違いですよね。
――実際に動いて良かったと思いますか?
出てよかったかどうかは正直、まだわからない。でもファンとの約束を守れたのは良かったと思います。そこに後悔はないです。ただいろんな物を失ってめちゃくちゃ寂しかったですね、毎日泣きましたよ(笑)
男の嫉妬が一番かっこ悪い
――今回の行動を評価する声もありました。それに対してはどう思いますか?
もともとK-1とRIZINは親交があって、以前は(K-1の)トップ選手がRIZINのリングに上がっていたんですけど、いろいろあってなくなって。だから俺だけがやったとかは思わない。ただ俺は唯一お金を払って出た。お金を払って、ルールさえ守れば行けることを示せたと思う。きっと今が天井、このままじゃ競技が止まっちゃいますよ。ここから打ち抜けようと思ったらみんなが動かないといけないと思う。
それこそ、昔は東京ドームでチケットが取れないなんて時代もあったわけじゃないですか。大人のおかげであそこまで行きましたけど、その大人たちが金を儲けようと汚いことをしたからなくなった。汚いことをしなかったら大きいまま行けるわけですよね。だから交流すること自体が悪いわけじゃない。実力がある選手も多くて、さらにイケメンもいる。(キックボクシングが)もっと流行る可能性はありますよね。
――またK-1に戻ることはあるんですか?
戻りたいですよ。K-1に戻って引退試合をしたいですし、それができたら面白いなと思っています。ただ、俺は全選手の敵ですからね(笑)
でも嫌われてもいいんですよ。嫌われて批判されても、選手みんなが格闘技界を盛り上げようとすれば、絶対に盛り上がる。SNS社会だからみんな批判は怖いと思うんですけどね。ただピーピー言うてるだけが一番カッコ悪いですよ。俺のことを口だけって言う奴もいるけど、俺はなんやかんや言ったことやってきてますからね、だから俺はここにいる。実力が全てと言うなら、その実力で俺の知名度も人気も全て超えてみせたらいい。それができなくてピーピー言ってる選手が一番口だけちゃいますか(笑)
プロはお客さんの話題になってなんぼですからね。ほんまに男の嫉妬が一番カッコ悪いですよ。