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「たまに頑張ると“エモい”なんて」 プロレスに全てを捧げた竹下幸之介がDDTで目指す“プロレスないない”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/11/01 11:02
DDT竹下幸之介はすべてをプロレスにかけてきた。秋山との戦いを前に熱い思いを語る
すべてプロレスラーになるためにやってきた
そんな秋山と自分は“エリート”という部分で共通していると竹下は言う。秋山はレスリングで活躍、竹下は中学・高校と陸上の混成競技で結果を残した。
「同じエリートと言われる選手同士だから、比較もしやすいと思います。秋山さんはメジャーのエリート。スカウトされてプロに入って、プロになってからプロレスを学び始めた。逆に僕は初めてプロレスの映像を見たのが2歳の時。陸上もプロレスラーになるためにやっていた。インディーのエリート……って言うと、若干言葉として矛盾しますけどね」
アマチュアスポーツで結果を残し、高校生でプロデビュー。しかも舞台は日本武道館だった。竹下はまぎれもないエリートだ。しかし“雑草”が多いインディー団体においては、むしろエリートのほうが反骨心を抱きやすいのではないか。そう聞くと竹下は「確かにそれはありますね」と頷いた。
「竹下ばっかり特別扱いされてって思われてたかもしれないんですけど、いやいや違うでしょって。僕はそれだけのことをやってきてますからね。陸上だけじゃなくわんぱく相撲に出たのもレスリングを習ったのも、全部プロレスラーになるため。子供の時から“プロレスラーになるために何をすべきか”と逆算する人生だったんです。高校を卒業する段階で“就職するよりプロレスラーになりたいなぁ”くらいの人とはスタートが違うんですよ。
高校も陸上部が強かったし大学(日体大)では周りがみんなメジャー競技のプロとかオリンピックを目指してる。インディープロレスでは頑張ったら“凄い”って言われがちですけど、学校では頑張るのが当たり前で、頑張らないことが“悪”なんです。“そりゃ吐くまで追い込むでしょ普通”っていう」
毎日頑張ってる方が絶対にエモいはず
竹下はそのキャリアの中でDDTの雰囲気を変えようとしてきたそうだ。
「いつもは頑張ってない選手がたまにチャンスをもらって頑張るとお客さんも褒める。そういう団体にはしたくないなって。常に頑張っている選手が認められるようにしないと。いつも頑張ってない選手が頑張ると“エモい”なんて言われるじゃないですか。でも毎日頑張り続けるほうが絶対にエモいはずなんで。僕がチャンピオンになって発言権を得るようになってから、そこは変わってきたかなと思いますね」