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「たまに頑張ると“エモい”なんて」 プロレスに全てを捧げた竹下幸之介がDDTで目指す“プロレスないない”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/11/01 11:02
DDT竹下幸之介はすべてをプロレスにかけてきた。秋山との戦いを前に熱い思いを語る
DDTはテリヤキ。みんなホントは好きでしょ(笑)
しかし秋山とのシングルマッチでは“高品質プロレス”で勝負するつもりはない。それは相手の土俵だからだ。秋山からメジャーのプロレスを吸収しながら、自分はインディースタイルで闘うつもりだ。
「相手がお下品に来たら上品なプロレスをして、相手が上品なら自分はジャンクフードの味でいく。今の僕は両方知っているから、相手の逆を突く闘いができる」
竹下にインタビューするのはいつも楽しい。試合についてだけでなくその時々の彼のプロレス論、プロレス学を聞くことができるからだ。今回はメジャーとインディーの違いを食べ物にたとえてみせた。
「メジャーのプロレスっていうのは、高級なお肉に塩を振っただけのステーキみたいなね。そりゃ美味いですよ。逆にインディーというか、DDTはテリヤキ。いわゆるごちそうではないけど“みんなホントは好きでしょ”って(笑)。僕は実家が焼き鳥屋さんなんですけど、焼き鳥で言ったら塩とタレの違いですよね。通は塩を食べるみたいに言われるけど、実はタレにこそ時間と手間暇がかかってたりする」
秋山のセンスがあったから学べたこともある
秋山の強さについても、竹下ならではの分析を披露してくれた。
「秋山さんのキャリアは30年近く。しかもプロレスについて考え続けた30年ですよね。レスラーのキャリアって長さじゃなく、どれだけプロレスを考えてきたかだと思うんですよ。ただ組まれた試合をこなしただけの20年より、プロレスを毎日考えた5年のほうが深い。秋山さんにはそれがありますね。その上で思うのは、やっぱり“地”の強さがあるなと。やられたら絶対にやり返す負けん気だったりセンスだったり、最初から持ってるものがある。馬場さんから教わったことも大きいと思うんですけど、秋山さんのセンスがあって初めて学べたものもあるはずで」