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「たまに頑張ると“エモい”なんて」 プロレスに全てを捧げた竹下幸之介がDDTで目指す“プロレスないない”
posted2020/11/01 11:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
DDT久々のビッグマッチ、11月3日の大田区総合体育館大会では、目玉カードの一つとして竹下幸之介vs秋山準のシングルマッチが組まれている。
竹下は25歳。高校時代にデビューした経歴を持つDDT新世代のエースだ。現在は無冠だが過去にKO-D無差別級王座を4度戴冠、最多防衛記録も樹立している。対するベテラン秋山は全日本プロレス、ノアで活躍し、全日本では社長も務めた。
今年5月、DDTのゲストコーチに就任すると7月からは全日本からのレンタル移籍でDDT所属に。「ジャイアント馬場さんから教わったプロレス」がインディーマット屈指の人気団体に伝えられることになったわけだ。大石真翔らとユニット「準烈」を結成すると社長の高木三四郎とのタッグは「チーム大老害」と命名。“メジャー”“老舗”で生きてきた男は、51歳にしてDDTでのプロレスを満喫しているようだ。
ゲストコーチ就任時から、秋山は気になる選手として竹下の名前を挙げていた。竹下も、全日本のリングで秋山と絡んだ試合を忘れずにいた。タッグマッチでの対戦を繰り返す中で、一騎打ちが決まるのは自然な流れだった。両者とも、それを求めていたはずだ。試合を直前に控え、竹下にあらためて意気込みを聞いてみた。
秋山のプロレスを肌で感じて上品な味がわかった
「最初は、秋山さんからプロレスを学びたいという気持ちでした。たとえばDDTの全選手が秋山さんと1回ずつ試合したとして、僕は他の選手が感じられないものを感じる自信がある。感じて、それをかみ砕いて、自分のものにすることができると。
だけどタッグで当たっているうちに、学ぶだけじゃなく勝たなきゃいけないなと。今は“秋山塾”で学んでいる状態。もちろん負けて学ぶこともあるんですけど、最後は勝ちたい。勝つことで全課程を修了するという感じですね」
秋山とは、タッグで当たっても連携や合体技は極力使わず、1対1で闘ってきたと竹下。秋山のプロレスを肌で感じた成果は、他の選手との試合で出るようになったそうだ。
「簡単に言うとプロレスが高品質になりましたね。上品な味のプロレスというか。つまりそれはメジャーのプロレス。だから最近はメジャー団体の試合を見て“なるほど、こういうことだったのか”とか“これ案外、DDTも負けてないな”と思うようになりました」