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高校サッカー、8人で11人に勝った“奇跡のチーム”「ってか、フォーメーションどうすんの?」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySatoshi Shigeno
posted2020/10/06 17:00
セットプレー時に8人がペナルティーエリア内に入る下田高校……って、これが出ている選手全員なのである
フリーになることを覚悟で素早く寄せる
この日、小山町の隣にある御殿場市の最高気温は22.8度だった。とはいえ日が差すと暑さを感じる気候だったこともあってか、20分過ぎに給水タイムが設けられたようだ。下田にとってみれば、わずか1、2分とはいえ、時間が止まる。
肉体を休められるとともに、戦術的な修正を図れる時間でもある。識者から“VARや給水タイムは、ボールを持たれているチームに優位に働くことがある。休む時間が自動的にもらえるから”という話を聞いたことがあるが、まさにその言葉通りの現象が起きた。チーム全体が修正を施し、決定機を作らせなかったのだ。
1トップの寺嶋が時にはボランチ並みの位置までプレスバックしたかと思えば、サイドバックのような位置でボールを奪取している……もちろんほかの6人のフィールドプレーヤーも素早い寄せで相手に自由にさせず、完全フリーになることは覚悟で逆サイドに展開させないようにしていたのだ。
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試合後、窪田陽輔監督はこのように語っている。
「前半の飲水タイム以降に限って言えば、相手を無得点に抑えることができています。チームの立ち上がり、相手の激しいプレッシャーに上手く対応するという部分ができれば、チャンスはあったかなと思います」
このコメントは決して強がりではないほどの立ち直りを見せた下田イレブン……ではなく「下田エイト」。何とか2点ビハインドで40分間を折り返し、ハーフタイムに突入した。
(後編に続く。外部サイトでご覧の方は関連記事『静岡の高校サッカー“奇跡の8人勝利”は美談なのか 「なぜ1年生部員がゼロなの?」からご覧ください』)
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